1回の充電で走行できる距離を重視するならスバル・ソルテラ
注目度の2位はスバル・ソルテラだ。グレードは3種類を設定するが、注目度が高いのはET-SS・2WDになる。価格は594万円だから、補助金を差し引いても509万円で、アリアB6・2WDに比べると55万円高い。
スバル・ソルテラ2WDは、リチウムイオン電池容量が71.4kWhで、アリアB6・2WDの66kWhに比べて余裕がある。1回の充電で走行可能な距離は567kmで、アリアB6・2WDの470kmに比べると約100km上まわる。
その一方で、モーターの最高出力は150kW、最大トルクは266Nmだから、動力性能は大人しい。乗り心地の重厚感もアリアが勝る。これらを総合的に判断するとアリアが買い得だが、1回の充電で走行できる距離を重視する場合は、ソルテラを選ぶ余地もある。
なおソルテラの姉妹車となるトヨタbZ4Xは、リースのKINTOのみで扱う。電気自動車は、リチウムイオン電池の劣化で航続可能距離が短くなる傾向があり、先代リーフは売却時の金額が大幅に下がった。「電気自動車はリセールバリューが悪い」という風評が生まれ、bZ4Xは通常の販売を避けている。リースなら、ユーザーが売却時に損失を被る心配がないからだ。
これは一種の自衛手段だが、KINTOは使用上の制約が多い。車内での喫煙、ペットの同乗などは行えない。走行距離も制限される。アルミホイールを汎用品に交換した時も、元の状態に戻して返却せねばならない。
つまりペットを同乗させ、長距離ドライブに出かける機会の多いユーザーなどは、KINTOには馴染まない。
KINTOは月々の限られた使用料金で新車を使うため、一見すると負担が軽いようだが、常に多額の債務を抱える。定額制サービスは、携帯電話で普及した経緯もあって若年層に人気が高いが、クルマは高額商品だ。そこにリスクがある。
従って日本で購入可能なSUVスタイルの電気自動車は、1位がアリアで、2位はソルテラだ。ほかにも輸入車を含めて設定されるが、価格の割安感も考慮すると推奨できない。現状では「電気自動車が売れない」のは当たり前だ。