EVの不安が払拭されたころに再び不安を煽る行為
EVについては、トヨタが述べる不安がこれまであったことは事実だが、プジョーの例や米国テスラのモデル3の売れ行きを見ても、それほど不安なく乗れることが浸透しはじめている。
そもそもEVは、リチウムイオンバッテリーの劣化を除き、壊れにくいクルマであり、消耗部品も少ない。駆動用モーターは、廃車となっても次のEVで使えるほど耐久性があるといわれてきた。消耗部品の少なさは、たとえばエンジンオイル交換がなく、ブレーキパッドの減りも少ない。
韓国のヒョンデ(現代)自動車が、日本市場に再上陸するときにEVと燃料電池車(FCV)に絞った理由は、主力となるEVの保守管理に手間がかからず、修理工場網を整備しなくても、どこでも整備や修理が可能だからだ。また、EVであれば、常に通信で車両情報が把握されているので、所有者が違和感を覚える前に故障の兆候を察知し、所有者へ伝えることさえできる。
リチウムイオンバッテリー劣化についても、十数年前の初代リーフやi-MiEVに比べ、性能も耐久性も改善され、それほど心配せずに済むようになっている。トヨタも、bZ4Xの車載バッテリーは、10年20万kmで7割の性能を保証するといっている。
EVは不安だから、サブスクリプションやリースに絞るという言い方は、消費者の心配をあおる行為とさえいえる。一方で、サブスクリプションは、EVに限らずスマートフォンや音楽配信、スポーツジムなどの利用で利便性を発揮しており、現代に適応した支払方法だ。
不安だからではなく、時代に適応した支払い方としてEVにサブスクリプションを導入するのは歓迎だ。しかし同時に、現金一括やクレジットの利用を排除したり、不安をあおったりすることは、消費者の選択肢を制限する姿勢ではないか。