625馬力になんと3速AT! 当時フェラーリやランボを圧倒した387.2km/h達成のアメリカンスーパーカー「ベクター」とは (2/2ページ)

すべてあわせても50台以下しか流通していない激レアスーパーカー

 そのベクターは、W8の生産を厳しい経営状態の中で続けつつも、それに続く次世代モデルのプランを進行させていた。このニューモデルは1990年代初頭には市場へと投入される予定で開発が進められ、実際にコンセプトカーの「AWX3」は1992年のジュネーブショーで披露される。

 それに前後してベクター・エアロ・モーティブ社は、当時ランボルギーニの親会社でもあった、インドネシアのセトコ・グループからの敵対的買収を受け、AWX3も当初計画の自社製の7リッター版V型12気筒エンジンから、ランボルギーニ・ディアブロに搭載されていた490馬力仕様の5.7リッターのV型12気筒エンジンへと変更を余儀なくされた。

 新たに「M12」のネーミングを得たこのモデルの0-60マイル加速は4.8秒、最高速は189mph(約304km/h)というのが当時のテストデータである。

 実際にカスタマーに販売されたM12は14台。今では貴重なコレクターズアイテムとなっていることは確かなところだろう。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

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