この記事をまとめると
■ついに日産のMクラスBEVであるアリアが正式発売される
■ライバルとなるトヨタbZ4X、同クラスのSUVとなるエクストレイルとパッケージを比較
■アリアとbZ4Xはパッケージングや販売方法などが大きく異なる
アリア vs bZ4X vs エクストレイルで徹底比較
いよいよ日産のMクラスBEV(電気自動車)のアリアが、2022年5月12日に正式発売される(先行特別仕様車は2022年1月27日発売)。
それに先駆け、公道で試乗するチャンスがあったのだが、ここではアリアとそのライバル、トヨタbZ4X、そして同クラスの日産SUV、エクストレイルのパッケージを徹底比較してみたい。具体的にはインテリアの雰囲気、運転席からの眺め、そして後席の居住性、アウトドアシーンにも向くSUVだけに気になるラゲッジルームといった項目だ。
EV専用プラットフォームを用いたアリアのボディサイズを見ていくと、全長4595×全幅1850×全高1655mm(プロパイロット2.0装着車1665mm)、ホイールベース2775mm。エクストレイルは同4690×1820×1740mm、ホイールベース2705mm。つまり、エクストレイルに対して全長が95mm短く、全幅は30mm広く、全高は65mm低い。
ここで注目すべきはホイールベースで、全長が95mm短いにもかかわらず、70mmも長いところだ。そして前後オーバーハングも極端に短い。室内長に関しても、アリアの2075mmに対してエクストレイルは2005mmにとどまる。それがアリアの魅力的なプロポーションの根源であるとともに、アリアが誇る室内の大空間を実現する要因となっている。
一方、bZ4Xのボディサイズは全長4690×全幅1860×全高1600mm。ホイールベース2850mm。アリアと比較すれば、全長と全幅はほぼ同じ。全高のみアリアのほうが55mm高く、ホイールベースはbZ4Xのほうが75mm長いことになる。
では、アリアとbZ4Xに乗り込んでみよう。インパネのデザインはどちらも先進感たっぷりだ。インパネ、メーターまわりは、アリアの場合、12.3インチのフルデジタル液晶メーターに連続するタブレットのように操作できる12.3インチのセンターディスプレイが新鮮で先進性に溢れている。センターディスプレイを右へスワイプすれば、その画面の内容がメーターに反映されるといった先進感ある使い勝手もなかなかと言っていい。
bZ4Xはと言えば、フルデジタルメーターとセンターディスプレイは別体。ディスプレイオーディオPlusは12.3インチの大画面となる。ナビゲーションを見る視線移動量では、センターディスプレイがメーターと横並びのアリアがやや有利という印象だ。
アリアとbZ4Xの運転席に座って気づく違いはそれだけではない。アリアの足もとはすっきり。サイドスルーも可能な足もと空間が特徴的だ。その理由は、EV専用プラットフォーム、エンジン非搭載、そしてけっこうな大きさになるエアコンユニットなどを前方配置(ボンネット側)することによって、広々とした前席足もと空間を作り出すことができたのである。
プロトタイプで衝撃的だったワンモーショングリップ&ステアバイワイヤと呼ばれる操縦桿のようなステアリングを日本仕様は不採用(中国向けに採用。日本仕様は今後に期待)としたbZ4Xの前席は一般的な作りで、巨大なセンターコンソールが運転席、助手席を分断。それぞれの席のパーソナル感はより強い。
後席の居住性はどうか。シートサイズはアリアが座面長470mm、座面幅1310mm、シートバック高660mm。bZ4Xは同480mm、1290mm、630mmと、アリアのほうがややたっぷりしている(北米ユーザーを意識か!?)。そのぶん、筆者の身長172cm、体重65kgの体形だと、シートバックの幅がありすぎてカーブで背中が泳ぐようにも感じられるのだが……。
また、着座感、立ち上がり性に大きくかかわるフロアからシート座面前端までの高さ=ヒール段差はアリアが330mm、bZ4Xが290mmと、アリア優勢。より自然な着座感、姿勢が得られることになる(高いほうが座りやすく立ち上がりやすいが、身長による)。ちなみにエクストレイルは同480mm、1290mm、630mm、後席フロア中央に凸あり。ヒール段差370mm。特に後席の着座性、立ち上がり性ではベストと言えるかも知れない(アウトドアやスポーツ用途にうれしい防汚パッケージ含む)。