実用面上ではアリアがやや有利?
後席居住スペースはどうか。身長172cmの筆者のドライビングポジション基準で、アリアは頭上に120mm(ガラスルーフ装着車)、膝まわりに300mmのスペースがあり、後席足もとフロアは完全にフラットだ。つまり、3人掛けもしやすい。
bZ4Xは同120mm、280mm。後席足もとフロアはほぼフラットだから、広さ感は同じようなものだと考えていい。なお、両車ともに後席エアコン吹き出し口が備わり(独立温度調整は不)、そこにスマホなどの充電に使えるUSBソケット2個を配置。アリアの後席は1段階のリクライニング機構も備わる。
ラゲッジルームはどうだろう。アリアは重い荷物の出し入れにかかわる開口部地上高740mm(段差なし)、後席使用時のフロア奥行き970mm、フロア幅1100~1390mm。最低天井高670mm。床下は全面が浅いサブトランクスペースになっている。
bZ4Xは同720mm(ボード上段では段差なし)、975mm、970~1440mm、天井高755~825mm(アジャスタブルデッキボード位置による)。床下収納少し。つまり、奥行きは同等。実用幅(小さい数値のほう)ではアリア、高さ方向でbZ4Xがやや有利ということになる。
エクストレイルは同730mm(段差なし)、900mm、1100mm、785mm(最小)で、荷物の積載力に大きくかかわるフロア長では最新パッケージを採用するBEVの2台には敵わない。
というわけで、パッケージング上の両車の大きな違いはセンターディスプレイの配置、前席足もと空間、後席ヒール段差が主だが、装備面では、bZ4XにはアリアにないAC100V/1500Wコンセントが装備されている違いがある。
BEVで電気を車両側から融通してもらうのは、エンジンで発電できるHVやPHVと違いリスク(バッテリー消費)ありだが、いざというときに大容量電源として役に立つ可能性はある。
また、販売方法も異なり、長年のBEV販売経験がある日産のアリアは一般販売。一方、初の量産BEVとなるトヨタのbZ4Xはリース、またはサブスク専用となる。
※各部の寸法は両車に試乗した筆者の実測値です。