スカイラインの最盛期は70年代だった
一方、かつての勢いを取り戻すことがほぼ不可能と思えるのが日産スカイラインだ。最近のスカイラインをイメージすると、プレミアムでスポーティな、ニッチなユーザーに受けているセダンというイメージかもしれないが、かつてスカイラインは市場のど真ん中にいるスポーティセダンだった。
その全盛期は1970年代で、1972年にフルモデルチェンジした4代目スカイライン(愛称はケンメリ)の生産台数は63.8万台、1977年に誕生した5代目スカイライン(同:ジャパン)は53.5万台の生産台数を誇る。
この当時、スカイラインは国内専用モデルだったことを考えると、ケンメリとジャパンの時代のスカイラインは年平均13万台ペースで売れていた。それが、いまでは年間5000台にも届かないレベルで推移しているのだ。
そんな風にスカイラインが売れなくなった原因についてさまざまな考察ができるが、本質的には売れなくなったのではなく、4代目スカイラインが売れすぎだのだ。
スカイラインの父と呼ばれ、7代目モデルまで開発責任者を務めた櫻井眞一郎氏は「会社の方針で仕方なく”売れる平均的なクルマ”を作った、スカイラインの名前はつけたくなかった」と後述している。
4代目がヒットしたことでスカイラインの開発自由度が上がり、逆に尖ったクルマとしてスカイラインは生まれ変わったといえる。それで販売台数が落ち込んでいったのは、まさしく櫻井氏の確信犯的行為であり、それがスカイラインのDNAとなり、正しく進化を続けたことで、現在の状況に落ち着いているといえる。
2022年7月に50周年を迎える、ホンダの原点ともいえるモデルが「シビック」。現行11代目までの世界累計販売は2700万台を超えているほどのヒットモデルだ。アメリカでの累計販売は1200万台、直近6年間の平均で年33万台も売れている。今回の記事は「いつの間にか売れなくなったクルマ」なので、シビックはバリバリ売れている人気モデルといえる……。
もっとも、シビックが売れているのは北米市場に限った話。日本ではタイプRがイメージリーダーでコアなファンに支持されている”カルトカー”という位置づけになっている。実際、日本向けにはタイプRのみがラインアップされていた時代もある。
現行型についても、2021年7月でのフルモデルチェンジ時の月販目標は1000台にすぎない。まもなくハイブリッドも追加されるが、それで爆発的に売れるとも思えず、ネームバリューの割に販売実績は寂しいクルマの代表という不名誉なキャラクターからの脱却はそう簡単にいきそうもない