目星をつけたお客様に“買ってもらう”
それではどのように新車を売っているのか聞くと、すでに新車を販売して納車している“既納客”への販売促進活動をメインにしていると、あるセールスマンは話してくれた。「車検有効期限まで1年ほど残っており、新車への乗り換えを直近で検討していないような管理ユーザーのお客様へ新車へのお乗り換えをご案内しております。つまり、欲しいお客様へ“売る”のではなく、目星をつけたお客様に“買ってもらう”という活動をメインにしております」。
2022年1月に正式発売となった、新型ノア&ヴォクシーは部品供給遅延などのほかに、新型車となったばかりで集中的に受注が入ったこともあり、ハイブリッド車ではすでに2023年になってからの納車を覚悟しなければならない状況となっている。しかし、そのような状況でも受注が入り続けている。ライバルの日産セレナははるかに短い期間で納車可能なので、セレナの販売台数が急伸してもいいのだが、目立ってそのような傾向は見られない。これも、「ノアあるいはヴォクシーが欲しい」と店頭を訪れるお客もいるのだろうが、自分たちが過去にノアやヴォクシーを販売したお客に“買ってもらう”といった売り方をベースに販売促進活動を展開していることが大きく影響しているようだ。
「ノア&ヴォクシークラスでは、先代、つまりひとつ前の世代にお乗りになっているお客様がより多く新型へ乗り換えられる傾向が目立ちます。二つ前より以前のモデルにお乗りになっているお客様は10年ぐらい長期保有されるケースが多いので、アプローチしても反応はいまひとつですね。ひとつ前のモデルなら、残存価値も十分残っておりますので短期間で乗り換えるというお客様も結構いらっしゃいます」。
メインのハイブリッドの納期遅延が目立つとはいえ、毎月の車名(通称名)別販売ランキングでは上位にトヨタ車が多く入っていると、一瞬不思議な気持ちになってもおかしくない。しかし、このような結果はトヨタ系ディーラーが得意とする“買ってもらう”という営業スタイルが下支えしているといっていいだろう。