この記事をまとめると
■年代によって異なるクルマの見方は異なる
■かつては当たり前だったセダンの形状に違和感を持つ人も
■世代間のクルマの好みや関心の違いについて解説
セダンの形状が奇妙だという声も
「タクシーってさぁ、何だかキモイよね」
「どうして?」
「人が乗るところの後ろにさぁ、何か出っ張りがあるじゃん」
「ああ確かに。お尻が突き出してるみたいな」
「アレ嫌だよ。ワケ分かんないし」
女子高生のこんな会話を聞いてから、もう10年くらいが経過する。「お尻が突き出してるみたいな出っ張りがあって、何だかキモイ(気持ちが悪い)」のは、セダンのことだ。当時でもセダンは、既にタクシーが中心で、その女子高生には奇妙な外観と受け取られたらしい。
このタクシーも、今の都市部ではトヨタの「JPNタクシー」が目立ち、お尻、即ちトランクスペースは消滅している。
「今の子供が描く自動車の絵には、トランクスペースがない」とメーカーの商品企画担当者から言われたのは、もう20年ほど前の話だ。初代ステップワゴンや初代イプサムといったミニバンの新型車が続々と登場したのは、1990年代の中頃。ほぼ同じ時期に、初代デミオや初代キューブも発売された。
また1998年10月には、軽自動車の規格が今と同じ内容に刷新され、ほぼ同時期に16車種の新型軽自動車が発売されて、空前絶後の新車ラッシュとなった。この時期を境に、セダンは急速に廃れていく。
つまり1990年代の中頃に生まれた子供は、今から20年前の2002年頃に、トランクスペースのないクルマを描くようになった。2012年頃になると高校生になって「セダンはキモイ」と言うようになった。