この記事をまとめると
◼︎デコトラからよく出てくる特徴的な排気音の正体を解説
◼︎「マニ割り」と呼ばれるチューニングが音の原因だった
◼︎車検や手間のことを考えるとあまりオススメできるチューニングではない
懐かしのデコトラたちでは鉄板チューンだった
商用車の世界というのは、普通車にはないものがあるというか、知らないものがけっこうあったりする。そのなかでも乗用車にはまったく関係のないチューニング方法がある。それがマニ割り、そしてダブルマフラーだ。トラックで行われているものなのだが、聞いたこともない人がほとんどだろう。そもそもトラックをチューニングすること自体、大手運送会社では行わないだけにデコトラを中心にしたもの。それゆえ少々ヤンチャなものだったりするが、その良否は別にしてとりあえずなんなのか紹介しよう。
まずマニとはマニホールドのことで、これを割ることを指す。割るというと叩いて割ってしまうイメージがあるが、分割というほうが正しいだろう。マニホールドは4気筒なら4本から1本になるし、6気筒も同様で、この点は乗用車でも同じ。これをそれぞれ3本と1本、5本と1本に分割してやる。設備や道具がある人は自分で切ってしまう猛者もいて、それぞれの切り口は鉄板を貼って塞いでおく。
※写真は乗用車用のエキゾーストマニホールド
そうすると1本のほうがパイプとマフラーがないので、別途追加してやる。これでマニ割りの完成だ。モノがモノだけに作業自体は大変だが、理屈としては簡単なのでDIYする人もいるのだろう。マニ割りするとマフラーがふたつになるのでダブルマフラー化と同義だ。ちなみにもともとのマフラーを親マフラー、追加した小さいマフラーを小マフラーと呼ぶ。ただダブルマフラーはマニ割りしないで行う場合もあって、完全にイコールではないので注意。マニ割りでする場合は、マニ割りWマフラーと呼んで区別しているようだ。
そもそもなぜこのようなことをするかというと、排気音が「ヒュルヒュルヒュル〜」「ルルルル〜」といったように変わるからで、ルーツは映画『トラック野郎』とされ、たしかに見てみるとヒュルヒュル言っている。またV8的な音を出せないかと試行錯誤した結果という説もあり、諸説あるようだ。また魅力としてはどんな音になるのか、割ってみないとわからないというところにもあって、奥が深い。
最後に荒業ゆえに車検は大丈夫なのか気になるのが、排気口を出す向きさえ注意すれば法律的には問題ないし、非合法だと車検のたびに戻すのもかなり手間だけに、そこまでしてやる人もあまりいないだろう。
じつは乗用車でもアメ車の直列エンジンでは行われている手法で、自分で割るだけでなく、分割されたマニホールドが販売されていたりする。ちなみにV型は最初から割れているので意味はない。