2022年のスーパーGTはGT300が激熱! 力を見せつけたGT-RにNSXやフェラーリやランボルギーニが襲いかかる (2/2ページ)

勢力争いは車種だけでなくチームやタイヤも大きく影響

 確かにすべてのGT-Rが速いわけではなく、GAINERの11号車と10号車、そしてKONDO RACINGの56号車はピンポイントのセッティングとドライバーのマネジメント、そして巧みなピットワークでトップ争いを演じている印象が強い。今大会でGAINERとKONDO RACINGのリザルトを左右したものが、タイヤ特性の違いで、予選ではダンロップ勢が上位を独占し、決勝ではヨコハマ勢が1-2フィニッシュを達成。前述の52号車(GRスープラ)のエンジニア、近藤氏によれば「我々が使用しているブリヂストンも良くなっているんですけど、それ以上にヨコハマやダンロップも進化している。昨年までは予選で厳しくても決勝では戦えていたんですが、今年はロングランもライバル勢が強くなっている」と語っているだけに、マルチコントロールゆえに、タイヤ特性と路面コンディションのマッチングがポジション争いに直結するはずだ。

 つまり、勢力争いは車種だけでなく、チームやタイヤも大きく影響している。そういった総合力を含めて言えば、前述のとおり、10号車、11号車、56号車のGT-Rのほか、岡山で3位入賞を果たしたメルセデスAMG GT3の65号車「LEON PYRAMID AMG」や2位入賞を果たしたホンダNSX GT3の18号車「UPGARAGE NSX GT3」も注目の存在と言っていい。ホンダNSX GT3では55号車「ARTA NSX GT3」もパフォーマンスが高く、得意の富士スピードウェイではトップ争いを左右することだろう。

 そのほか、FIA-GT3勢のなかでは、常に安定した走りを披露する87号車「Bamboo Airways ランボルギーニGT3」、88号車「Weibo PrimezランボルギーニGT3」らJLOCが投入する2台のランボルギーニ・ウラカンGT3も無視できない存在で、得意なストレートに加えてコーナリングにも磨きがかかってきたフェラーリ488 GT3の9号車「PACIFIC hololive NAC Ferrari」も4位入賞を果たしてだけに注目の一台と言える。さらにBMW Team Studie×CSLが投入したニューマシン、BMW M4 GT3の7号車「Studie BMW M4」もパフォーマンスの高さが伺えただけに、セッティングが熟成されてくればトップ争いに加わってくることだろう。

 もちろん、前述のとおり、リストリクター系や過給圧が縮小されながらも、ライトウエイトのGTA-GT300は速く、61号車のBRZや60号車、52号車のGRスープラは今後もトップ争いの主導権を握るに違いない。さらに昨年のオートポリス大会を制したGRスポーツプリウスPHVの31号車「apr GR SPORT PRIUS GT」やトヨタ86 MCの5号車「マッハ車検エアバスターMC 86 マッハ号」も要注目の存在だ。これに加えてGTA-GT300車両のニューマシン、トヨタGR86も目の離せないマシンで、なかでも昨年までロータス・エヴォーラMCを武器に躍進していたmuta Racing INGINGの2号車「muta Racing GR86 GT」はマシンの熟成とともに上位争いに絡んでくることだろう。

「コーナリングサーキットでは車両重量が軽いので、GTA-GT300車両が戦いやすいと思いますが、富士みたいな高速コースではFIA-GT3車両が強いと思います。例年以上にコース特性で勢力争いが変わってくると思います」と語るのは、61号車のスバルBRZを投入するR&D SPORTの小澤監督だが、いずれにしても2022年もGT300クラスは激戦となる可能性が高く、各ラウンドで熾烈なバトルが繰り広げられるに違いない。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
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登山
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