目線が高いクルマは視線移動が大きくなりがち
そして目線の高さによって変わることの3つ目は、目の動き。目線が低いと、近いモノをより多く目で捉えることになりますが、近いモノは動きが速く、遠くのモノはゆっくりと流れるように捉えられるため、目の動きもゆっくりに。近いモノばかりを見ていると目の動きが速くなり、疲れやすくなることもあるでしょう。
ただその反面、インパネの配置によっては、メーターやナビなどの画面との視線移動が大きくなりがちなのが、目線が高いクルマです。最近はヘッドアップディスプレイなどが標準装備されるクルマも増えていますが、それは視線移動をなるべく小さくしようとするためです。一概に、ただ目線が高いほうがいいというのではなく、視線移動の小ささも考慮することが望ましいと言えます。
そして4つ目の違いは、体感スピード。一般的に、目線が低い方がスピードによる恐怖感を感じにくく、目線が高くなるにつれて実際の速度よりも速く感じたり、スピードによる恐怖感を感じやすくなることが多いと言われています。セダンやクーペ、スポーツカーに比べ、背の高いSUVはどうしても重心が高くなるため、カーブを曲がる際のロールが大きくなったり、ブレーキングで前のめりのような姿勢になったりすることも多く、それが恐怖感や疲労感、乗り物酔いの原因になったりすることも。街中を制限速度で走っている分にはそれほど影響は大きくないですが、高速道路を飛ばしたり、山道をよく走るような場合には、必ずしも目線が高いほうが運転しやすいとは言えないと思います。
ということで、これらの違いを考慮すると、市街地を常識的な速度で走る場合や、渋滞などの際には、目線が高いクルマのほうが運転しやすいと感じ、速度域が高い道路やカーブが連続するような道を走る場合には、目線の低いクルマのほうが運転しやすいと感じることが多いと言えるでしょう。
ただ、熟練のドライバーになってくると、少しくらいの視野の狭さはカバーできるようになってくることも多いため、あまり目線の高い・低いで運転しやすさの違いを感じることも少なくなってくると思います。また、いくらSUVでも、小柄な体型の人が合わない運転ポジションで運転した場合には、その恩恵は受けられません。あくまで、自分に合った適正な運転ポジションが取れる場合に、目線が高いことによる運転しやすさが感じられるということです。これらを踏まえてぜひ、自分にはどの目線の高さがしっくりくるのか、チェックしてみてほしいと思います。