100km/hで100mの車間距離では割り込まれ放題! 現実での適正な車間距離は「ACC」がヒントになる (2/2ページ)

スキルに合わせて堂々と確保すべし

 たとえば、先行車両に追従するクルーズコントロール(ACC)の制御では、自動車メーカーがクルマの性能を考えた上で、制御可能な車間距離を設定しているはずだ。

 一例として、ホンダ・フリードの説明書を見てみると、ACCでは4段階の車間距離設定が行えるが、100km/h走行時の最短・車間距離は約30m、最長で約78mの設定となっている。

参考:ホンダ・フリードACC説明書
https://www.honda.co.jp/ownersmanual/webom/jpn/freedhybrid/2017/details/13686090-53076.html

 ACCの場合は、一般に人間より反応が速く空走距離が短いことから、この車間距離が可能になっている面もあるだろうが、たしかにリアルワールドでは100km/h時に30mくらいの距離感で走っているクルマが多い印象がある。

 そのため100km/hで100mといった車間距離は開けすぎに見え、どんどん割り込まれてしまい、却って運転が難しくなるという側面もあったりするのは否めない。

 では、割り込まれることが多いドライバーは車間距離を詰めるべきなのかといえば、答えはノーだ。

 冒頭でも記したように車間距離は事故リスクを下げるために必要なスペースといえる。反射神経に優れているなど反応速度に自信があって、なおかつどんな状態からでもABSが作動するくらいのフルブレーキが踏めるスキルがあればACC並みの短い車間距離でも追突事故を回避できるかもしれないが、そのどちらにおいても機械に並ぶだけのスキルがないのであればACCの設定値よりもマージンを見た車間距離を取っておくことが事故を避けるには必要といえるのだ。

 割り込まれたら、そのクルマを目安にふたたび自分が信じる車間距離を開ければいい。スキルがないのにまわりに合わせて無理な運転をする必要はない。ドライバーのスキル、クルマのパフォーマンスは個々に異なるものだから、各人が必要と思う車間距離を堂々と確保すればいいのだ。

 もっとも、どんなに自信があったとしてもACCが設定する車間距離よりも短くして安全に止まれるというドライバーは超少数派のはずだ。自分のクルマにACCがついているならばACC作動時の車間距離を参考にして、自分の感覚がそれよりも短いようであれば、本当に追突回避をできる車間距離としているのか、自問自答してみてほしい。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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