もう二度と登場しない驚異の軽自動車エンジンも
第3位:トヨタD-4S
トヨタのエンジン技術は凄まじい。最新の燃焼効率41%を誇るダイナミックフォースエンジンも素晴らしいのだが、レーシングドライバーとして感銘を受けたのはD-4Sエンジンだった。レクサスIS350に搭載された3.5リッターV型6気筒2GR-FKSエンジンは、直噴とポート噴射のふたつつの燃料噴射方式を世界で初めて同時採用し、環境性能とパフォーマンスの高次元両立を目指した。
そのドライブフィールはスロットル操作にシャープにレスポンスする回転特性が感動的で、低速域トルクも豊かで扱いやすい。現在は86/BRZにスバル製2.4リッター水平対向4気筒エンジンに組み合わせて採用されるなど発展を続け、完成度を高めている。
第4位:ポルシェ911空冷フラット6
現在のポルシェ911は非常に大きくなってしまったが、1990年前後のモデル930〜993型までの911は、近年の軽自動車並みの小型な車体に3.3〜3.6リッターの自然吸気空冷水平対抗エンジンを搭載していた。
空冷であることは冷却にクーラント(冷却水)を使用しないのでウォータージャケットがなく軽量。加えてウォーターポンプも必要ないので抵抗が少なくレスポンスに優れたエンジンになる。オイル潤滑はドライサンプとして撹拌抵抗も少なく、市販車ながら鋭い吹き上がりでドライバーを感動させる。
空冷時代のポルシェ911は、今では希少性が増して中古車も高価格になってしまったが、残存率も高いので根気よく探せば良い固体を見つけられるだろう。空冷ポルシェ911を知らずしてポルシェ911を語るなかれ、といいたい。
第5位:三菱4A30T型
このエンジン形式を見てもピンと来る人はいないだろう。実はこれ、1994年に登場したパジェロミニ(4A30型)が搭載していた水冷直4エンジンの呼称なのだ。このエンジンの何が凄いかというと、4A30型はわずか660ccの排気量。つまり、軽自動車用エンジンでありながら直列4気筒にレイアウトされ、しかもDOHCで気筒あたり5バルブの計20バルブというハイテクが満載なのだ。
自然吸気モデルはさすがにトルク不足を感じるが、ツインスクロールターボを装着した4A30T型はトルクバンドも広く素晴らしい運転フィールに仕上がっていた。4気筒ゆえエンジンの回転振動が少なく軽自動車とは思えないほどのクオリティ。7000回転までストレスなくスムースに吹き上がり、三菱のエンジンの真骨頂だったと言っても過言ではない。
登場から25年経っている今では中古車で安価に手に入るが、きちんとメンテナンスされていれば、今乗っても優れたエンジン性能に驚かされる。