馬力バトルから燃費バトルへ
しかしミラは、1985年にフルモデルチェンジを実施すると、ターボモデルは一気に52馬力とアルトに大きく差をつけることとなる。
もちろんスズキも黙ってみているわけもなく、1987年には64馬力を発生する「ワークス」を追加。当初は80馬力近くを絞り出す予定だったというが、当時の運輸省が難色を示し、64馬力に抑えたことでこの数値が現在に至るまでの軽自動車の自主規制値となったのだった。
両車はパワー競争だけでなく、ミラが2代目モデルにフルゴネットタイプのミチートやウォークスルーバンを設定すればアルトも3代目モデルで同じくフルゴネットタイプのアルトハッスルを設定するなど、さまざまな方面でバチバチにやりあっていた。
しかし、2000年に実施されたマイナーチェンジでは、両車とも3ドアのホットモデル(ミラTR及びアルトワークス)が廃止となり、高性能化の競争に一旦終止符が打たれることとなった。
その代わり2011年9月に既存の技術をブラッシュアップして低燃費化を実現した「第3のエコカー」と名付けられたミライースが登場すると、アルトも同年11月に低燃費仕様のアルトエコをリリースし、ここからは燃費競争がスタートすることとなったのである。
その後、ミラはミライースにあとを託して2018年に生産を終了。アルトは2015年末にワークスを復活させるなど対照的な道を進んでいたが、アルトが昨年末に9代目にフルモデルチェンジを果たしたタイミングでハイブリッドモデルをラインアップする一方で再びワークスが消滅しており、今後の行く末が気になるところ。
対するミラ(イース)は2017年に現行型が登場して間もなく5年が経過するタイミングであり、そろそろ新型のウワサも聞こえてくるタイミングとなってきた。果たして新型モデル同士、次はどんな戦いを見せてくれるのだろうか?