もはや高性能ブレーキといえば世界中で「ブレンボ」一択! いかにして「ブレーキの王様」に成り上がったのか? (2/2ページ)

ブレーキキャリパーの量産化に成功し名を馳せる

 その上で、ブレンボは量産車向けのアルミニウム製ブレーキキャリパーの量産化に成功する。乗用車のトップブランドである、メルセデス・ベンツやポルシェが採用したことで、日本人の間でもブレンボの名前が一気に広まっていった。

 事業のグローバル化を踏まえて80年代の一時期、アメリカ資本となるが、90年代に新生ブレンボとして再出発する。この頃、日本を含めてグローバルでハイパフォーマンスなチューニングカーがブームとなり、ブレンボはカスタマイズの定番商品として若い世代での認知度が急激に上がっていく。

 さらに、2000年代に入るとブレーキやクラッチの製造メーカーである英国APを買収して、ブレンボは先行技術開発の幅を広がると共に、これまでブランドがカバーしきれていなかった国や地域で新しいビジネスチャンスを得る。

 技術面では、カーボンセラミックが近年のブレンボユーザーに馴染みが深いだろう。カーボンなど素材関連開発メーカーのドイツSGLと連携した、ブレンボ SGLカーボンセラミックブレーキがフェラーリ、ランボルギーニ、アストンマーチンなど超プレミアムカーに採用されるようになったからだ。

 そのほか、スクーターや中小型バイク向けの新しいブランド・BYBREや、レース用シートベルトやチャイルドシートの関連にも事業を拡大している。

 自動車産業はいま、急激な電動化や自動運転技術の普及など、大きな時代変化に直面している。その中で、クルマの基本性能である「走る・曲がる」、そして「止まる」に対する安心安全を高性能技術で支えるブレンボには、これからも持続可能な成長が期待される。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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