この記事をまとめると
■運転中、歌っている人をよく見かけるが危険ではないのか
■音楽心理学者の研究によると集中力が高まるという
■しかし音楽のジャンルなどに関しては注意が必要
歌うことで集中力が増すことが判明!
信号待ちでふと、となりに並んだクルマの運転手や、対向車の運転手を見たら、大きな口を開けて気持ちよさそうに熱唱中! ということってありますよね。そこまで熱唱しなくても、ラジオからお気に入りの曲が流れてきたら、つい一緒に口ずさんでしまったり、スマホに入っている音楽を車内で流しながら、カラオケ状態で運転している人もいるのではないでしょうか。運転中に歌を歌うことがない人からすると、「それって大丈夫? 危険じゃないの?」と心配になるかもしれません。
でも、じつは音楽心理学者のニコラ・ディッペン博士の研究によれば、運転中に歌を歌うことで、精神がリラックスするだけでなく身体が刺激され、動作が機敏になったり、疲労感が減少するということがわかったといいます。その結果、運転中に沈黙していたり、同乗者と会話したり、ラジオを聴いている時よりも、歌っている方が集中力が増し、居眠り防止にも効果的だと説明しています。
会話をするよりも歌う方が集中力が乱れにくい理由としては、運転手はすでにその歌の歌詞を覚えているから、自然と口をついて出てくること。そして、歌詞は繰り返しが多くて覚えやすいから。という点を挙げています。確かに、携帯電話が普及し始めた当初、携帯で会話をしながら運転していた人の重大事故が多発し、社会問題になり、現在では運転中の携帯/スマホの使用は厳禁となりました。会話をするというのは、自分が思っている以上に注意力を削がれてしまうということなのでしょう。
ただし、運転中に歌う歌には、いいものと悪いものがあるという結果も出ています。運転中に歌うのに適さない曲として、イギリスの調査機関が発表したのは、1分間に60ビートを超えるハイテンポの曲。激しいロックやヘヴィメタルなどに多いでしょうか。それらの曲は、運転中にただ聴いているだけでも、90デシベル以上のボリュームでかけていると、運転手の危険回避動作が20%遅れるという結果が出たとのこと。これは安全運転に悪影響を及ぼしますね。
また、一見良さそうなクラシック音楽も、テンポのアップダウンが激しいので運転中に聴くにはあまり適さないという意見も。SAなどでに休憩中に聴くのはリラックス効果を高めるのでおすすめです。
ということで、歌いながら運転することは、適した曲であれば危険なことはなく、むしろ集中力を高めて疲労感も減少させてくれることがわかりました。とはいえ、昨今はスマホで歌詞が流れてカラオケが楽しめるアプリなどもありますが、運転中に歌詞を見ながら歌うのはNG。何度も歌ったことがあるお気に入りの曲や、歌詞を見なくてもソラで歌える曲が運転中には適していますので、眠気防止のためにもそうした曲を用意しておくといいと思います。