お金もかかるし安全面でもマイナス! スタッドレスの「寿命を縮める」タイヤの保管方法とは (2/2ページ)

直射日光は厳禁! 保管前にひと工夫が長持ちのコツ

 まず、保管スペースだが、屋外、それも直射日光や風雨が当たる場所は絶対に避けなければいけない。屋外しか選択肢がない場合には、建物の陰など、直射日光が当たらない場所が不可欠だ。また、直接外気に触れることを避けるため、タイヤカバー(市販品)やブルーシートなどをかけておくことも最低限必要な作業だ。

 次は、タイヤ置き方だが、タイヤショップで見かけるタイヤラックに収める方法(縦置き)と、タイヤを寝かせて積み重ねる平積みの方法がある。それぞれ一長一短だが、縦置きはタイヤ単体(ホイールのない状態)であれば向いているが、ホイール付きだとタイヤの重み(ホイール重量)でトレッド面が変形する可能性がある。

 一方、平積みはスペース効率もよく、ホイール付きの場合に適した保管方法だが、いちばん下のタイヤに大きな重量が加わるため、厳密にいうなら、定期的なローテーション(積み位置変更)が必要だろう。なお、タイヤは空気を封入し、その張力で重量を支えるのが基本的な考え方だが、これも厳密な言い方となるが、大気圧より高い空気圧で使用するタイヤは、無負荷の状態でもストレスが加わることになる。このストレスを減らすため、保管する場合にはある程度空気圧を下げておくのがよい、と指摘する人もいる。

 あと、保管するには換装した冷暗所が最適という言い方もあるが、スタッドレスの場合、溶剤の揮発を考えると、完全な乾燥状態も望ましくないと考える。高温多湿は不可だが、ある程度の湿度は必要だと考える。

 また、取り外したタイヤが、車両のどの位置に装着されていたかも、記録に残しておくとよいだろう。タイヤかホイールのどこかにテープなどを使って「右前、右後。左前、左後」と記入しておくのもひとつの方法だ。乗用車用のスタッドレスは、ほぼ100%ラジアル構造だが、使用しているうちに回転方向の馴染みが生じてくる。また、フロントとリヤでは接地特性の違いから、摩耗状態にも違いが生じてくる。タイヤの摩耗を均一状態に保つという意味でも、次回装着時に前後を入れ替えて装着するのがよいだろう。

 降雪地の方は、シーズン中はスタッドレスとして使い、氷雪が消えてからもそのまま履き続け、次のシーズインで新しいスタッドレスに履き替えるという使用例もある。スタッドレスタイヤの性能維持が難しいことを物語る一例で、どんなに丁寧に使っても、使用したスタッドレスは新品と較べて性能の劣化が避けられない。それならば、いっそ履き潰して次のシーズンは新品で対応しよう、という考え方である。

 ちなみに、これは正確性のあるデータではないが、アイスバーン性能の維持という意味では、スタッドレスの性能保持は2シーズンが限界、と判断する人もいる。これは著しい摩耗が見られない状態も含み、経時変化で溶剤が揮発したスタッドレスタイヤの柔軟度、つまりアイスバーングリップの低下は避けられない、ということを言い表したものだ。

 ただし、摩耗のない、あるいは摩耗の少ないスタッドレスは、経時変化でアイスバーン性能は低下しても、トレッドブロックが残っていれば、スノータイヤとしての性能は相応に確保されている。スタッドレスタイヤを、ウインターシーズンを過ごす上で必要不可欠な道具として使っている人にとっては、アイスバーン性能の低下はそれなりに大きな影響力を持つが、非降雪地帯に暮らし、時おり降雪に見舞われスタッドレスをスノータイヤとして活用する人にとっては、トレッドの摩耗や損耗がなければ、スノータイヤとして十分な性能を果たすことができる。

 夏タイヤと異なり、保管方法によって性能低下の程度に違いが生じるのがスタッドレスの特徴とも言える。ベストな保管方法は無理だとしても、性能の低下を防ぐ意味で、マイナス要素がひとつでも少なくなる方法で保管してほしい。


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