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いま水素やバイオマス燃料でのレース参戦にメーカーが熱心! だが乗用車への「採用」で無視できない「燃料精製」の陰にある真実 (2/2ページ)

いま水素やバイオマス燃料でのレース参戦にメーカーが熱心! だが乗用車への「採用」で無視できない「燃料精製」の陰にある真実

この記事をまとめると

■トヨタとマツダとスバルが水素とバイオマス燃料を使う車両でスーパー耐久に参戦している

■どのような水・食料を使用しているかの背景を含めて検証した資料を公開すべきだ

■少なくとも乗用車で水素やバイオ燃料を利用することへの未来は厳しい

水素やバイオマス燃料を使ってレースに参戦しているが……

 ガソリンにかわる燃料でモータースポーツに参加することは、目新しいことではない。米国のインディカーレースでは、長年にわたりアルコール燃料を使ってきた。ル・マン24時間レースでは、かつてフランスのチームが石油液化ガス(プロパンガス)を使って参戦したことがある。トヨタ車体は、ダカールラリーに生産車クラスで参戦し、てんぷら油の廃油を使ってクラス優勝を果たし、連覇している。

 昨年から国内で話題を提供しているのが、トヨタの水素エンジンだ。呼応するかたちでマツダがバイオディーゼル燃料での参戦を昨年から開始した。スバルも開発中のバイオガソリン燃料で参戦する計画だ。3社が参加するのは、スーパー耐久選手権である。

 当初、トヨタは特別参加枠の賞典なしで参戦したが、シーズン途中から特別なクラスが設けられ、クラス優勝を争えるようになった。耐久レースであり、かつ市販車を基にした車両を使っての競技への参戦となり、将来の量産車への適応を視野に入れた取り組みと見ることができる。

 ただし、水素にしてもバイオ燃料にしても、その原理や背景をしっかり検証したうえでなければ、量産技術への転用は難しいだろう。

 水素は、太陽光や風力など再生可能エネルギーによる発電で水を電気分解し、そこから水素を手に入れるとする。だが、理科の実験ならビーカーの中の水に電気を通せば、ブクブクと気体が生じるが、レースはもとより将来の産業構造として水素を製造するとなると、そう簡単ではない。

 なぜなら、水(H2O)は非常に安定した液体であり、それを水素と酸素に分離するためには、不安定な状態にしたうえで電気を使わなければならないからだ。不安定な状態とは、高温の蒸気の状態にすることだ。

 次に、その水はどのような水を使うのかも検証する必要がある。もし、飲料水にも使える水を利用するなら、水不足への懸念が残る。気候変動の影響で、米国の西海岸では降雪が少なく、すでに飲料水確保への懸念が起きている。日本はこの冬の降雪量が多かったが、6~7月にもし枯れ梅雨ともなれば、たちまち水不足の懸念が生じる。普段何気なく使っている水は、人間が生きるために不可欠な液体だ。それを無暗に水素製造に使ったら、エネルギーはあっても飲み水が手に入らないという事態となりかねない。

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