この記事をまとめると
■全日本ラリー選手権第2戦「ツール・ド・九州」で、コ・ドライバーの業務に注目!
■コ・ドライバー部門のチャンピオンが仕事内容を語る
■コ・ドライバーのパフォーマンスはリザルトを左右する要因のひとつ
“コ・ドライバー”ってサイドシートで何をやっているの?
レース競技と違って、ラリー競技はドライバーとともに“コ・ドライバー”と呼ばれる選手がマシンに搭乗しているが、彼らコ・ドライバーはサイドシートで何をやっているのだろうか? そして、コ・ドライバーが使用するアイテムや求められる資質とはどのようなものだろうか?
というわけで、4月1日〜3日、佐賀県唐津市を舞台に開催された全日本ラリー選手権第2戦「ツール・ド・九州」の会場で、コ・ドライバーをクローズアップしたい。
まず、同じラリー競技でもロードブックに記された目標物のポイントに合わせて、走行速度を指定速度に変更。その走行速度の正確さを競うアベレージラリーでは“計算”がコ・ドライバーの最大の役割であり、そのために助手席にはコンピューターが搭載されていたのだが、全日本ラリー選手権やWRCなどスペシャルステージでタイムを競うSS主体のラリーではコ・ドライバーの役割も大きく異なっている。
「まず、ペースノートの作成とノートのリーディング、時間管理、道案内などが主な役割ですが、ロードブックの裏に集計表を貼り付けてライバルとのタイム差もチェックしています。それを確認しながら、“次のSSはプッシュしよう”とか、“次のSSは抑えていこう”とか、そういったアドバイスもしています」
そう語るのは、ドライバーの天野智之とともに2021年の全日本ラリー選手権でJN5クラスのタイトルを獲得したコ・ドライバーの井上裕紀子だ。井上はこれまで14回に渡って全日本ラリー選手権のコドライバー部門でチャンピオンに輝いているエキスパートで、「過去データも準備しているので、昨年より自分たちが速いのか、遅いのかもチェックしています」と語る。
さらに「全日本ラリーは事前準備が大変です。土地勘がない場所で、必要なものを調達する必要もあるので、地図アプリをみながら、どこに、どんなお店があるのか、そういった部分もある程度はチェックしています」と語る。さらに「レッキ後はペースノートの仕上げ、走行後にドライバーから修正のリクエストがある場合はリエゾンで直して、サービスでセッティングの変更がある場合は、私のほうからメカニックに連絡して必要な準備をしてもらっています。あとはタイヤ選択に悩んでいる場合はアドバイスをしたり、コースアウトした時、リタイヤするのか、しないのかの判断もしています」とのことで、コ・ドライバーの仕事は多岐にわたる。