コ・ドライバーのパフォーマンスがリザルトを左右する
とはいえ、必要な装備としてはアベレージラリーのようにコンピューターは不要で、天野/井上が搭乗するトヨタGRヤリスのナビシートもトリップメーターが装着されている程度と極めてシンプルな仕上がり。井上によれば「道案内をするために、トリップメーターは必要ですが、それ以外はノートと筆記用具、正確な時刻を把握するための時計があれば十分です。あとはトラッキングアプリを入れたスマホも必需品ですね」とのことだ。
このほか、大会期間中は常に公示をチェックして必要な対応を行うなど、まさにコ・ドライバーは“プレイングマネージャー”的な存在で「大きなチームだとチームマネージャーがやると思いますが、プライベーターなので私ができることはカバーしています」と井上。それゆえに「コ・ドライバーは落ち着いた判断が求められるので、沈着で冷静にいるように心がけています」とのことで、まさにコ・ドライバーはラリー競技に必要不可欠な存在となっているのである。
当然、コ・ドライバーのパフォーマンスがリザルトを左右する要因のひとつとなっており、2021年の全日本ラリー選手権でJN2クラスのチャンピオンに輝いたヘイキ・コバライネンはコ・ドライバーの北川紗衣について「彼女はミスをしないし、ノートリーディングのタイミングも安定している。コ・ドライバーとのマッチングに自信がなければ、あんなにハイペースでは走れなかった。タイトルを獲得できた要因の50%は彼女のおかげだと思う」と評価した。
さらに2021年の全日本ラリー選手権では西川真太郎がJN4クラスでチャンピオンに輝いたのだが、「本橋選手にはシーズン中、いろんなところで怒られていました」と西川が語るように、ドライバーとしての経験を持つコ・ドライバー、本橋貴司のアドバイスもタイトル獲得の要因といえるだろう。
WRCのワークスチームではコ・ドライバー出身のチームマネージャーが多く、ドライバーと同時にコ・ドライバーも高く評価。まさにラリー競技ではドライバー、マシンとともにサイドシートで戦うコ・ドライバーも重要なポジションとなっている。