【試乗】ハイブリッドなのにエンジンが気持ちいい! シビックe:HEVの「爽快感」がヤバい (2/2ページ)

ハイブリッドというのを忘れる内燃機関チックな絶品の走り

 内燃機関の効率を大幅に高めている。それでいて、エンジンの剛性を高めることによって走りの爽快感を追求していた。実際に走り始めて度肝を抜かされることになる。ノーマルモードではごく穏やかなハイブリッドの走りである。静粛性が高いのはノイズキャンセラーが組み込まれているからだ。ノイズと逆位相の音をスピーカーから流すことで、人間の耳に聴こえなくしているのである。

 しかも、アクティブサウンドチューニングがなされている。アクセルオンによりエンジン回転が高まる。それは駆動輪に直結しているわけではないのだが、パワーに同調して回転が高まる。そのエンジン音に、電子音を重ねているのだ。これがとてつもなく躍動感がある。

 ミッションの精度も絶品で、まるで2ペダルMTであるかのように小気味よく回転が上がり下がりする。

 ドライバーに正対するメーターは、アナログ的に上がり下がりする速度計が右に、駆動力を指し示すパワーメーターが左に組み込まれている。そのパワーメーターはまるで内燃機関のタコメーターであるかのように軽快に盤上を踊るのだ。

 これがハイブリッドだと聞かされなければ、スポーティなガソリン車だと錯覚してしまうかもしれない。

 低回転域でトロトロ走っている限りはモーター駆動だから静かである。電気モーターらしくモリモリと力強い。それを手がかりにハイブリッドだと気がつくのだが、ひとたびアクセルを強く踏み込むとエンジンが始動し、ガソリン車ゾーンに叩き込まれるのである。

 シビックe:HEVのグランドコンセプトは「爽快シビック」だという。それも納得する。加速感は紛れもなく爽快だったのだ。

 ハンドリングも秀逸である。もともとガソリン仕様で新型シビックのボディ剛性感が整っていることを確認しているが、バッテリーを低く搭載したことで安定感が際立った。乗り心地は悪くはないのに、サスペンション系が硬く感じられないのは、バッテリーのウエイト増を巧みに操縦性に利用しているからにほかならない。

 強く旋回Gを与えると、タイヤの接地が曖昧になる瞬間がなくはないのだが、全体的なフットワークも爽快なのだ。すでに販売が始まっているガソリン仕様は、狙いどおりに若いジェネレーション「Z世代」のハートを掴み、受注は好調だとか。あとを追うように誕生したハイブリッドは、やや年齢層の高いゾーンを狙っているという。

 だが果たしてそんな都合よくことが運ぶだろうか。新型シビックe:HEVの走り味はとても軽快であり、上質な内燃機関を走らせているかのような爽快感がある。こんな快感を流行に敏感なジェネレーションZ世代が放っておくだろうか。あるいは世代を超えて支持される可能性が高い。それほど新型シビックe:HEVは爽快だった。


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