首都圏のクルマ好きには最高の立地! 袖ヶ浦フォレストレースウェイの走り方をプロが徹底解説 (2/2ページ)

8コーナーはドリフトで抜けられるレイアウト

 5〜6〜7コーナーは逆カントがついた複合コーナーを構成しており、ここも車両によって走行姿勢やラインが変わってくる。アウトインアウトの基本的なライン取りだとRが大きくなりすぎて走行距離が伸び、その割に逆カントの為に車速も乗らずタイムロスしやすい。逆にインベタだとコーナリング時間が長くステアリング切り角も大きくなって走行抵抗となり、やはり車速を維持するのが難しい。回り込んだコーナーで横Gの発生時間が長く車体ロールも大きくなるので基本的な車体の重心位置の低さやロール剛性の高さなどが効果的に作用する。このコーナーの区間速度を知る事で、その車の基本性能の高さを評価できる。

 ピットパドックの真裏に位置する8コーナーへ向けてはイン側クリップポイントへ向けて真っすぐなラインを取るのが正解だ。真っすぐアプローチすることで55Rの8コーナーへの減速Gを最大限に引き出し、素早く減速を終わらせてからフラットな姿勢にして8コーナーを旋回する。

 ただ6〜7〜8コーナーはS字コーナーを形成していて、意図的に左右に振りながら走らせるとヨーダンピングが起こり、8コーナーへ向けてフェイントモーションとなってドリフト姿勢に持ち込みやすい。車両のヨーダンピング特性を試したり、ドリフト走行を試みるには8コーナーはダイナミックに楽しめるポイントでもある。

 続く9コーナーは再び25Rのヘアピンだ。8コーナーでも右旋回Gとヨーレートが収束しないまま9コーナーへアプローチすると不安定になりやすい。やはりイン側クリッピングポイントを目がけて真っすぐに減速させ車体のロールを収束し、小さな旋回ラインで小回りでクリアする走法が推奨される。

 9コーナーから最終コーナーへはR220の緩やかなカーブとなっていて、かつ緩やかに登り勾配もついている。この区間で如何に加速性能を引き出せるかで最終コーナーの旋回速度に影響し、ホームストレートの伸びにも作用する。

 最終コーナーはブラインドコーナーで逆カントもついていて見た目以上に難しい。コーナー出口のアウト側はエスケープソーンが少なく、縁石も高いのでコースアウトしやすい。

 ホームストレートの全長は約400m。スーパーカークラスの最高速度は200km/hをオーバーするが、多くの国産モデルは150km/h前後の最高到達速度だろう。

 袖ヶ浦フォレストレースウェイのラップタイムは1周2km強の筑波サーキットの約10秒落ちが目安と言われている。その分テクニカルで難しいサーキットであるが、平均速度は低くなるので安全性は高いと言えるのだ。

 機会があれば、是非チャレンジしてもらいたい。

【参照】
http://www.sodegaura-forest-raceway.com/


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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