ぶつけるなんて当たり前のプロレスレース! なんとル・マン参戦の情報もあるアメリカの「NASCAR」って何もの? (2/2ページ)

ガンガンぶつけるド派手なレースがアメリカ人に大ウケ

 同じ頃、アメリカでケーブルテレビが発達しはじめており、豪快な走りでガンガンぶつけて大クラッシュが頻繁に起こる過激なレースシーンは、欧州系レースとは大きく違うクルマのプロレスのような雰囲気で、テレビのコンテンツとして重宝され、視聴者の心をつかんだ。

 撮影方法では車内オンボードカメラを多様した臨場感がある映像を中継中に多様し、レースの真っ最中に中継テレビ番組の司会者や解説者がドライバーと直接会話するスタイルなどが受けて、NASCAR人気が急上昇。開催場所も、従来の南部中心ではなく、西海岸から東海岸まで全米規模に拡大していった。

 2000年代に入ると、NASCARのトップカテゴリーの年間集客数やテレビ視聴率は、メジャーリーグベースボール(MLB)、アメリカンフットボール(NFL)、バスケットボール(NBA)に迫る勢いで急成長していった。

 海外遠征もテスト的に行い、英国や日本(鈴鹿、モテギ)で行った。

 筆者はそうしたNASCARの急伸を現場で体感し、10年以上に渡って日本でのNASCAR中継番組解説者としてNASCARの魅力を日本に伝えようとしてきた。しかし、日本ではF1やスーパーGTなど、欧州文化を原点とするモータースポーツが主流であり、NASCARは結局、一部のファンを除いて日本では受け入れられなかった。

 そんなNASCARのトップチームである、ヘッドリックモータースポーツが、ル・マン24時間の出場特別枠を活用してシボレー・カマロで参戦することが明らかになった。じつは、NASCARマシンがル・マン24時間に出場するのは2023年が初めての試みではない。1976年にもダッジ「チャージャー」とフォード「トリノ」が単年で参加している。

 時代はいま、カーボンニュートラルによるBEV(電気自動車)シフトが欧州で一気に進みはじめており、その影響はアメリカにも及んでいる。NASCARとしては、次世代に向けた道筋を考えるため、初参戦から47年の月日を経て、ル・マン24時間に再挑戦することになる。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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