俗に言われるフェラーリの馬とポルシェの馬は「同じ馬」説が怪しい! 調べに調べてわかった「ほぼ確実」な事実とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

フェラーリとポルシェのエンブレムの馬の「元ネタは同じ」は本当か?

ポルシェのエンブレムのは馬はシュトゥットガルト市の公式紋章の馬が描かれている

■フェラーリの跳ね馬はイタリアの撃墜王のマークで元ネタはイタリアの騎兵連隊の馬だった

クルマ好き憧れの「跳ね馬」のモチーフは何だ?

 今年のF1グランプリでは第3戦が終わった時点でフェラーリがコンストラクターズランキングで段トツ、ドライバーズランキングでもシャルル・ルクレールがトップ、カルロス・サインツが3位。まだ序盤戦もいいところだからシーズン全体を占うことはできないけど、幸先のいいスタートであることは間違いない。今シーズンは画面の向こうで、黄色地に黒の馬が跳ねている赤いフラッグが元気よくはためく光景をたくさん見られそうだ。

 と、感じていたところで、思い出した。その馬、つまりカヴァリーノ・ランパンテ(=プランシング・ホース=跳ね馬)にまつわる、ちょっと前に立ち聞きした若いクルマ好き同士の会話だ。

「フェラーリのエンブレムの馬とポルシェのエンブレムの馬って、確かもともとは一緒なんですよね?

「そうそう。どっちもシュツットガルトの市章が元ネタらしいよ」

 うーむ……。まぁそう言われてるところもあるにはあるんだけど、でも、それはちょっとどうかなぁ……、なのである。その言い伝え、間違ってるかも知れない。異説あれこれがそれなりの数、存在してるのだ。

 確かに、昔からまことしやかに語られてきたお話ではある。フェラーリの創設者だったエンツォ・フェラーリは、第1次世界大戦の頃のイタリア空軍の撃墜王・故フランチェスコ・バラッカの母親から、バラッカが機体に描いていたカヴァリーノ・ランパンテのマークを贈られて、それをエンブレムにした。

 バラッカがカヴァリーノ・ランパンテを自身のパーソナルマークとしていたのは、空中戦で撃墜したドイツ空軍のパイロットが機体につけていたシュツットガルト市の市章をモチーフにしたマークを、リスペクトも込めつつ頂戴したものだ。シュツットガルト市はポルシェの本拠地。ゆえにフェラーリの馬もポルシェの馬も、出所は同じシュツットガルトの市章である。細かなところに微々たる違いがある言い伝えもあるのだけど、おおまか、そんな感じだ。

 気になりはじめると、もういけない。真実は、ホントはどうだったのか。知りたくてたまらなくなってくる。……暇人なのか?

 ポルシェに関しては、そう時間もかからず判明した。公式サイトで自社のエンブレムがシュツットガルトの市章をモチーフにしてることを明らかにしてるからだ。一部を抜粋してみよう。

「(前略)ポルシェ クレスト(著者註:紋章)は、1952年にフェリー・ポルシェとアメリカのインポーターであったマックス・ホフマンの2人による会合で、356の品質を示すシールとして提案されました。その年、広報部長のヘルマン・ラッパーとデザイナーのクサヴァー・ライムシュピースが初期デザインを作成。細部にわずかな変更が施されましたが、このデザインは現在に至るまで受け継がれています。(中略)金色のプレートの中央には、シュトゥットガルト市の公式紋章の馬が市の名前とともに描かれ、その周りを赤と黒の威厳あるカラーと鹿の角の模様が囲んでいます。これは、ヴュルテンベルク・ホーエンツォレルン州の伝統的な紋章に由来。(後略)」


嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
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