この記事をまとめると
■自動車用語にある「オーバーハング」という単語を解説
■長いクルマ、短いクルマそれぞれにメリットがある
■キャラクターに合わせて長さを設計されているほか、長さによって空力にも影響がある
オーバーハングの長さによってメリット・デメリットが変わる
「オーバーハング」という自動車用語を聞いたことはあるだろうか。真横から見て前後タイヤから外側となる部分を指すもので、オーバーハングの大小はクルマの性格を判断する基準ともなるし、運動性能に対する影響も少なくない。
たとえば、トラックなどは後ろのオーバーハングが極端に大きいが、それは小まわりの利くホイールベースと多くの荷物を積むためのパッケージから生まれてきたシルエットだ。同様のことは3列目シートを持つミニバンなどでもいえる。
リヤにエンジンを搭載することの多い路線バスや、リヤエンジンがアイデンティティのポルシェ911も、骨格としてリヤ・オーバーハングが大きくなるパッケージといえる。
逆にフロント・オーバーハングについては短くするほうが市街地での取り回しに有利なパッケージといえる。その方向で究極的にオーバーハングを詰めているのが、ジムニーなどのクロカン4WDだ。
クロカン性能の指標として「アプローチアングル」という言葉がある。これはフロント先端の最下部とタイヤ接地点をつないだ直線が地面(水平面)とどのような角度を描くかという数字だが、アプローチアングルが大きいほど岩や傾斜面などで地面とボディが干渉しづらいということになる。
同様にリヤタイヤの接地点とリヤバンパーなどの最下部をつないだ線と地面が作る角度のことを「デパーチャーアングル」という。いずれにしても、オーバーハングが短いほど干渉しづらく、スタイリングとしては走破性の高さが期待できるということになる。