レストアしつつの魔改造! いま世界的ブームの旧車の「レストモッド」とは (2/2ページ)

海外でも人気の高いS30型フェアレディZは格好の素材

 シンガーのポルシェよりも、再解釈の幅を広げているのがイタリアのキメラ。彼らはオリジナルをレストアするのでなく広義での兄弟車をつかって、上級モデルにモディファイするという手法をとっているのが特徴です。

 すなわち、ランチア037ラリーというレース参戦用のクルマ(グループBカテゴリ)を、同じくランチアのミッドシップ市販車「モンテカルロ」をベースにモディファイ。といっても、活かすのはキャビンのみで、前後ボディは鋼管スペースフレームを使ってゼロから作るという手の込んだもの。

 エンジンはオリジナルのターボに加え、スーパーチャージャーを搭載することでグループBマシンらしく500馬力オーバー。

 洒落ているのが生産台数で、037の車名にちなみ、37台の限定生産となっています。こちらは約6400万円と高価には違いありませんが、オリジナルのラリーカーはすでに天文学的な価格だし、シンガーに比べればだいぶお求めやすい価格といえなくもないでしょう。

 グループBといえば、フランスからはルノー5ターボのレストモッド、その名も「ターボ3」がレジェンデ・アウトモビーリ社からリリースされています。なるほど、初代5ターボは限定車で、量産モデルは5ターボ2とされたためレストモッドには「3」がふさわしいのかもしれません。

 そもそも5ターボは、2ボックスのFF車(ルノー5)を、無理やりミッドシップに改造しながらもラリーで大活躍した異色のマシン。オリジナルが十分すぎるほど個性的だからか、大幅な再解釈はなされていません。

 それでも、ディテールのモダナイズ、インテリアのリデザインと仕上げはさすがに美しく、またいかにもフランスらしいオシャレ感がグイグイと漂います。

 さらに、環境企業とコラボをしてバンパーやリヤウイングといった樹脂パーツ部分に再生プラスチックを用いているところも、前の2車とは違ったスタンス。いろんな意味でオリジナルとケンカをしない存在といえるでしょう。

 もちろん、日本の旧車だってレストモッドのターゲットになっています。海外でもタマ数の多いS30、フェアレディZは、世界的にカスタムや魔改造マニアに大人気。

 ブルガリアのカスタムファクトリー「ヴィルナー」は、インテリアのカスタマイズが本業なようですが、ドイツで元空軍士官が車庫にしまい込んでいたS30をレストモッドしました。

 バンパーレス、スムージング、さらにはリヤスポイラー追加といったモディファイに加え、あえてビンテージレザーを使ったゴージャスなインテリアはインパクトも抜群です。

 価格などのディテールは未公表ですが、ブルガリアという馴染みの薄い国でレストモッドされたZがあるということ自体、ちょっとした驚きです!


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
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