市場がデカい! だからシビックも安くなる
そもそも、多くの日系メーカーの新車価格は、日本よりアメリカのほうが安く設定されることが多い。たとえば、日本でもよく売れているハイブリッド車の開発責任者と意見交換した際、「アメリカでの価格を知って正直驚いた。日本よりそんなに安く設定するなんて……」と本音を漏らしていた。
最終的な販売価格として、MSRP(マニュファクチャーズ・サジェステッド・リテール・プライス/メーカー希望小売価格)を決めるのは開発者ではなく、営業関連部門である。価格決定でもっとも意識するのは、そのクルマがどのセグメントに属していて、そのなかでのライバル車との価格のバランスだ。
シビックの場合、C/Dセグメントと呼ばれるアメリカでの中小型車に属しており、そのなかで中心的な存在として長年に渡り、毎年数十万台レベルの販売実績がある。近年は、コンパクトSUVセグメントがC/Dセグメントをかなり食っている状況にあるものの、軽自動車やミニバンが主流の日本市場と比べると、C/Dセグメント市場規模が極めて大きい。
そうした市場動向を踏まえて、より多くのユーザーにシビックが届けられるような価格設定になっているといえる。需要と供給という経済原則の中、市場が違うと同じクルマでも新車価格に差が生じるのは当然なのだ。