消防士が受講する理由は「予習」!?
その1つが、警察官(警察職員)。パトカーなど警察車両を運転するには、警視庁内で実施する自動車運転技能検定を受け、合格する必要があります。都道府県によって名称などは異なるようですが、合格した級によって運転できる車両も変わり、緊急走行ができるのはとくに厳しい検定に合格した警察官のみとなっています。警察車両を運転中に事故を起こすと、合格を取り消されたり、降格されたり、条件付きでの運転のみが許可されるといった処分が下されます。そうした処分を受けた警察官には、安全運転訓練を行うことが義務付けられているのですが、何らかの理由によって警視庁内で実施する訓練が混み合っていたり、参加が難しい場合に、まれに民間の講習に参加することがあるというのです。
そうした警察官の講習を担当した女性が感じたのは、パトカーは2人1組で乗車し、運転手だけでなく助手席の警察官も常に一緒に周囲を確認しながら運転しているため、安全確認を他人に頼る癖がついているということだったそう。もちろん、基本的な運転技能は高いのですが、習慣というのは他人から見るとわかるものなのですね。
さて、ペーパードライバー講習を受けにくる意外な職業の2つ目は、消防官(消防士)です。運転免許に加えて、消防活動を行うための知識と技術が必要不可欠で、消防車を運転するには「機関員」の資格がなければなりません。消防官が講習を受けにくる理由としては、大きなイベントなどで消防車が配置されることがありますが、その担当になったために、事前に想定されるルートを走って練習しておきたいという人が多いそうです。
実際に消防車を走らせて練習することができないので、マイカーやレンタカーを運転して、配置される場所から出動する可能性のある場所までのルートをシミュレーションし、危険な場所や運転しにくい場所などがないかどうか、チェックしているといいます。2021年には東京オリンピック/パラリンピックが開催され、そうした初めての地域に配置されることになった人が多く、受講も増えたのではないかということでした。この勉強熱心さには、心を打たれますね。
ということで、コロナ禍が大きなきっかけとなってマイカーの便利さが見直され、ニーズが高まっているペーパードライバー講習。受講者ひとりひとりの希望を聞いてくれて、基礎から教わりたい人や、苦手なところだけを特訓したい人まで、マンツーマンで教えてくれる出張タイプなら、毎日運転している人でももし不安なところがあれば、もっと気軽に利用してみてもいいのではないでしょうか。