クルマだけでなく工業製品にもデザイン面で進出
ところが、1980年代後半、そう日本だけでなく世界中がバブル景気に沸き始めると、再びザガートは表舞台、しかもセンター的なポジションをゲット。たとえば、ピニンファリーナは日本車にバッヂの提供(ないしデザインbyピニンファリーナを名乗ること)くらいでしたが、ザガートは日産とレパードをベースにしたコンプリートカー「ステルヴィオ」「ガヴィア」の2モデルを製作&市販!
負けじと盟友アルファロメオも新生SZ(スプリント・ザガート:ただしデザインは現在のチェントロ・スティーレで、ザガートは細部のブラッシュアップとバッヂのみ。これはアルファロメオの巧みなマーケ戦略でしょう)をリリース。
ランチアからもハイエナ(デルタ・インテグラーレをベースにアルミとウェットカーボンを駆使して作られました)が少量ながら市販されるなど、初代ウーゴも驚くほどの躍進を遂げたのでした。
1990年代に入っても勢いは止まないどころか加速気味。ファッションブランドを立ち上げたかと思うと、すかさず伊勢丹にショップができ(筆者もネクタイを買うなどブームに乗りました笑)、神奈川でタクシー会社などを経営するスポンサーがザガート・ジャパンを立ち上げるなど、日本へのがぶり寄りも見事なもの。ただし、この当時はザガート主導ではなかったようですが、アストンマーチンDB4GT ZAGATOサンクションという、いわゆるコピーモデルを限定生産したのはうまくいきませんでした(あくまで噂ですが、当のアストンから訴えられたようです)。
1994年には原田則彦氏がチーフデザイナーとなり、トヨタからハリアー・ザガートが出たり、ガレーヂ伊太利屋の林氏がフェラーリ575マラネロをベースにしたワンオフ(2台の未製造)575GTZといったトピックフルなモデルをリリース。
一度は挫折したDB4GTサンクションも、アストンマーチンDBS GT ZAGATOとの抱き合せ販売(!)でサンクションIIとして復活! 8億円という値段に度肝を抜かれた方も少なくないでしょう。
現在に至っても付き合いのない自動車メーカーがないほどの売れっ子ぶりですが、デザイン協力といったビジネスも手広く展開していることも見逃せません。イタリアのバイクブランド「MVアグスタ」でバイクを作ったり(日本人によるオーダーなので、現車は国内にある模様)、ライカのカメラをデザインしたり、ショパールの腕時計、果てはドライブシュミレータまでプロデュース。並みいるカロッツェリアの追随を許さぬ大躍進を遂げているのです。
やはり、カロッツェリアだろうとなんだろうと100年以上の栄枯盛衰、有為転変にあふれた歴史をもつ企業というのは力強い! ザガート、ぜひこれからの100年にもご注目ください。