電動化時代の犠牲者か! 「アルピナ」がBMWのサブブランド化する「苦渋の決断」の後ろにあるもの (2/2ページ)

急速な電動化が進む中での生き残りをかけた苦渋の決断

 一方、アルピナはドイツ車のチューニングブームが去った後でも、独自性を貫きながらBMW本社との友好的な関係を維持してきた。だが、自動車産業界がCASE(コネクテッド・自動運転・シェアリングなどの新サービス領域・電動化)という巨大な時代変化に直面するなか、アルピナは新しい時代に向けた事業の在り方を模索していたのだと思う。

 CASEのなかでも、アルピナにとってもっとも大きなインパクトがあるのは、やはり電動化であろう。欧州連合(EU)の執務機関である欧州委員会(EC)は、2021年7月に「2035年まで欧州域内で発売するすべての乗用車をEV(または燃料電池車)とする」方針を、欧州グリーンディール政策のなかで表明している。

 これにより、これまで内燃機関の匠として生きてきたアルピナにとって、未来に向けた大きな判断が必須となったのだ。

 一方で、電動化時代でも、スポーティ性やラグジュアリー性を進化させるビジネス領域は十分にあると思われ、BMWにとってアルピナブランドの付加価値は高い。さらにいえば、クローズドエリアで高性能な内燃機関乗用車を楽しむというビジネスモデルが、今後、発展していく可能性も否定できず、新生アルピナの活躍の場が広がることを大いに期待したい。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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