ラリーに不向きな車種でも実力でカバーして好成績を記録
気になるエンジンは規定に合わせて33mmの吸気リストリクターが採用されているものの、ECUを含めてノーマルの状態だが、ステアリングを握るAKIRAは、「エンジンはリストリクターの影響でマイルドになりました。ハンドリングもノーマルの状態では“じゃじゃ馬”な感覚がありましたが、競技車として足まわりを煮詰めたことで乗りやすくなりました」とインプレッション。
さらに「JN3クラスのトヨタ86はコーナリングマシンでしたが、GRスープラはトルクがあって、立ち上がりの加速がいいので、早めに向きを変えて直線的に立ち上がったほうがいいですね」とのことで、AKIRAはドライビングスタイルをアジャストしたようだ。
こうして全日本ラリー選手権にデビューを果たしたGRスープラは開幕戦の新城ラリーで安定した走りを披露していた。レグ1はウエットとドライが混在する難しいコンディションであり、「ロングノーズ車なので、右コーナーの突起物が見えないし、アクセルを開けるとカウンターを当てるような状態。タイム的にはダメだった」と語るものの、それでもAKIRA選手はクレバーな走りを披露。さらにドライになったレグ2では「ドライタイヤで走ったんですけど、奥久保の高速ステージで130km/hを超えるとエンジン側で制御がかかって吹けない状態でした」とのことでタイムが伸び悩んでいたが、それでもAKIRAは脱落者が続出したサバイバルラリーで無事に完走を果たし、GRスープラのデビュー戦をクラス2位でフィニッシュした。
「立ち上がりのアクセルコントロールの仕方がわかりましたので、次に生かしたいと思います」とAKIRAが語るほか、マシン開発を担うトクオワークスレーシングの徳尾慶太郎も「トルクがあるので十分に戦えるクルマだと思います。第3戦からはECUを変更したい」と語っているだけに、今後もGRスープラの進化に注目したいものだ。