薄い分より強い補強が必要
まずは量産効果。増えているとはいえ、低扁平は主流になっているわけではないので、量産効果が薄いというのはある。実用車や実用グレードまで、すべて低扁平になれば逆転まではいかなくても、近づくかもしれない。ちなみにオイルでは、以前は鉱物油は安いベースオイルの定番だったが現在は需要が落ちていることから、それほど安くなく、化学合成系のほうが安くなってきているのがいい例だろう。
そして一番大きいのが性能確保だ。タイヤはゴムだけでできているのではなく、内部には金属製ワイヤーなどが入っていて、剛性を出している。簡単に言ってしまえば、薄い分、より強い補強が必要というわけだ。しかも支えるのは1トンから2トンぐらいの走る鉄の塊だ。ちょっとした段差を越えただけでも強い衝撃を受けることもあって、それをあの薄いサイドを中心に受け止めるのは大変なことだ。
実際、1990年代ぐらいの低扁平タイヤは段差を少し強めに乗り越えただけでも、サイドの部分が破損して膨らんだり、ホイールにまで衝撃が行ってしまいリム部分が曲ることも多かった。それが正しい姿と言ったら変だが、現在はそのようなことはあまりなくなっているだけでも、どれだけ性能が高められているかということだ。もちろんこれがコストにつながる。
実際にホイールに組んでいないタイヤ単体の状態で、低扁平タイヤを持ち上げてみると、思ったほど軽くないし、ときには見た目以上に重たい場合もある。それだけ内部には金属ワイヤーなどが多く入っているというわけだ。低扁平タイヤのメリットは今や当たり前になりつつ、とくに見た目は高扁平タイヤには戻れないほど。材料時代だけに難しいかもしれないが、反面なおさら安くなってほしいものである。