この記事をまとめると
■ブレーキを踏み続けていると利きが悪化する
■これを「フェード現象」と言う
■予兆と対策について解説する
ブレーキを踏んでもクルマが止まらなくなる
サーキット走行でブレーキを酷使したり、山道で下り坂が長く続き、ブレーキを踏み続けていると、次第にブレーキの利きが甘くなり、やがて強く踏んでも減速しなくなってしまう。これがいわゆる「フェード現象」。
フェード現象が発生するメカニズムを簡単に説明すると、ブレーキを連続的に使ったり、ハードなブレーキを繰り返すと、ローターとバッドの温度が上昇する。ブレーキパッドがある一定の温度以上に上昇すると、ブレーキパッド摩擦材内の樹脂素材(レジン)が熱で分解気化し、パッドとディスクの間にガス膜ができてしまう。そのガス膜の影響でブレーキの摩擦係数が極端に低下してしまうことをフェード現象という。
フェード現象が発生する温度は、ブレーキパッドの材質によってさまざまで、一般的な乗用車の純正パッドであれば、ローター温度が300~350度に達すると、フェード現象が始まり出す。ブレーキがフェードすると、ブレーキペダルを踏んでも止まらなくなるので、これほど怖いことはない。
したがって、フェード現象の予兆を感じたら、そのまま走り続けずに、安全な場所にクルマを止めて、ブレーキの温度が冷めるのを待つのがベスト。いまのクルマなら、突然フェード現象が発生してブレーキが利かなくなるようなことはないので、次のような予兆を感じたら気をつけよう。
1) 焦げるような異臭がする(レジンの焼ける匂い)
2) ブレーキから白煙が出る
3) ブレーキの利きが甘くなってきた気がする