この記事をまとめると
■世界の自動車メーカーで行われた耐久試験を紹介
■普通ではありえないようなことをやって、ユーザーに大きなインパクトを与えた
■耐久性の高さを証明することによってメーカーの価値も上がった
耐久性を証明することはブランドイメージ向上に大きく繋がる
100人乗っても大丈夫。物置メーカー社員が実際に物置の上に乗ってみたり………。
象が踏んでも大丈夫。筆箱を像が実際に踏んでみたり………。
または、強力接着剤でクルマを吊るしてみたり……。
歴史を降りかえってみると、商品の強さや耐久性を強調するテレビCMはけっこう多かった。ただし、企業としてのコンプライアンスや、しっかりしたエビデンス(証明)に基づく表現などが企業の宣伝広告に求められることが影響しているのか、最近はこうした性能評価に対するキャッチーな宣伝手法が目立たなくなった印象がある。
こうした事情は、自動車産業についても同じだ。
クルマの耐久性を強調する宣伝広告にはさまざまなケースがある。1950年代から60年代にかけてグローバルで流行ったのが、テストコースで1000kmなど長距離を走ったタイムを競ったり、24時間走ってみたり。そうした試みがベースとなって、レーシングカーを仕立てて仏ル・マン24時間や米デイトナ24時間などにチャレンジすることもあった。
ただし、レーシングカーにしてしまうと、量産車としての耐久性に直接結びつかないため、量産車での連続走行記録挑戦も行われた。
一例として、スバルが1988年にアメリカで行った、初代レガシィによる10万キロ世界速度記録への挑戦がある。
3台のレガシィで、アリゾナ州内のテストコースを1万周以上するというもの。なんと、19日連続で走行するという熾烈なチャレンジだ。背景にあるのは、アメリカでは新車購入から10万マイル(16万キロ)走行するのは当たり前という社会環境にあり、日常走行での耐久性がブランド価値を大きく左右することが挙げられていた。
当時、スバルはアメリカで、まだまだマイナーな存在であり、こうしたユーザーにわかりやすい商品広報が必要だったといえるだろう。
最近では、トヨタがランクルやハイラックスを世界各国のさまざまなシーンで長距離走行する動画を公開したり、また実際にユーザーが過酷な状況で長期間に渡り使用しているケースを紹介することで、商品の耐久性と信頼性を強調している。
衝突安全性についてはスウェーデンのボルボがこれまで、さまざまな広報活動をしてきた。
なかでも驚きだったのは、大型クレーンで新車を地上数十メートルまで持ち上げて、そのまま地面に落下させるという風景だ。
これはエンターテインメントではなく、取得したデータを国際社会で共有することを目的としている。そのほか、外気温の変化に対する試験として、気温50度からマイナス30度近くまでを再現できる試験施設を有するケースがあると言われている。