ブランドイメージなどの付加価値が大きい
メーカーによって製造されたクルマは、新車販売店に対して卸売りされる。新車販売店は、日本国内ではスバルやマツダなどが、本社の直接資本が入っている、いわゆる直営が多く、またトヨタの場合は東京都心部を販売エリアとするトヨタモビリティ東京を除いてすべて地場の独立系販売店という事業形態を取っている。海外の場合、直営店の体系をとっているメーカーは少ないのが実状だ。
いずれにしても、新車販売店はメーカーから仕入れた新車を、メーカーからの卸売り価格に対してマークアップ(利益分の上済み)して一般ユーザーに対して小売りする。
こうした新車製造から販売までの基本的な流れは、数億円レベルの超高級車も100万円台の軽自動車でも基本的に同じだ。
こうしたなかで、なぜ数億円レベルの新車が存在するのか? その理由は、「そこの市場があるから」にほかならない。つまり、需要と供給という商売の原則によって、買いたい人がいるので、作って、そして売るのだ。ようするに、数億円レベルの新車市場を、メーカーやメディアなどが創出することが最初の一歩となる。
これは、軽自動車でもミニバンでも同じことだ。市場があることで、市場でのベンチマーク(基準)となるような価格帯が構築され、それに向けてメーカーがクルマを企画する。この大原則に、数億円レベルの新車も当てはまるといえる。
むろん、数億円レベルの新車の製造台数は少ない場合が多く、企画、研究開発、製造でのコストが新車価格に対してかなり割高に影響するのは当然だ。だが、それ以上に、数億円レベルの新車にはブランドイメージに代表される付加価値が大きい。私だけの究極の1台を求めて、世界の超富裕層が超高級なクルマを求めているのだ。