【試乗】マセラティまでハイブリッドかよ……と思ったら走りはそのままスポーティ&エレガント! こんなギブリなら「あり」だった (2/2ページ)

ジェントルにそしてトルクフルに走りをアシスト

 それでは注目のパワーユニットはどうか。搭載されるエンジンは、2リッターの直列4気筒ターボエンジンに、48Vのマイルドハイブリッド機構、すなわちベルト駆動によるジェネレーター兼スターターを組み合わせ、さらにここからの電力で駆動するeブースターと呼ばれる電動スーパーチャージャーを搭載。8速ATとの組み合わせで後輪を駆動する。

 そのコンパクトな設計はギブリ・ハイブリッド・グランツーリスモの大きなアドバンテージで、車重はベーシックなモデルでは1950kgと、従来のギブリ・ディーゼルより80kgも軽い。前後重量配分は50:50となっている。

 さまざまなオプション装備が組み合わされているため、このウエイトのメリットは直接大きな違いとして体感することはできなったが、MHVの魅力はさすがに試乗中には常にそれを感じることができる。

 最高出力で330馬力、最大トルクでは450Nmというスペックは、このサイズには十分な性能で、とりわけeブースターが働いた後の加速感は、それが2リッター級のエンジンを搭載するものとは信じられないほどのものだ。

 組み合わされる8速ATの制御も滑らかで、当然のことながらどの領域からでもアクセルを踏み込むだけでギブリ・ハイブリッドは強力な加速感を体験させてくれる。フルスロットルでの加速を試したいシチュエーションでは、パッセンジャーにひとこと断りを入れてからの方が良いのは間違いなさそうだ。

 ギブリ・ハイブリッドのドライビングモードには、「ノーマル」、「スポーツ」、「I.C.E」の3タイプがあるが、この中で注目したいのは「I.C.E」。これは直列4気筒エンジンのみを使うモードではなく、いわゆるエコモードだ。このモードを使っても、走りにもどかしさを感じることはなく、デフォルトとしてそれを使用するのも悪くない。

 4輪ダブルウイッシュボーン形式のサスペンションは、20インチ径タイヤとの組み合わせでも、十分に快適な乗り心地を演出する。よりフラットな落ち着きを期待する向きには、スポーツモードを選択するのもひとつの策ではあるのだが、やはり低速域ではノーマル、あるいは例の「I.C.E」モードを選ぶのが得策だろう。

 今回は残念ながらワインディングロードに足を延ばすことはできなかったが、おそらくそこでは、スポーツモードでリニアなステアリングの動きと、十分に引き締められたフットワーク、そしてなによりハイブリッドシステムによるトルクフルなコーナリングを楽しめるに違いない。

 ギブリ・ハイブリッド・グランスポーツ。魅力的なMHVサルーンが、また一台日本に上陸を果たした。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

新着情報