【試乗】FRスポーツのBRZをなんと雪道で全開! 「まともに走れるの?」どころか「楽しすぎ」て笑うレベルだった (3/3ページ)

スバルが心血を注ぐクルマの信頼性はFRのBRZでも健在!

 スポーツカーであるがゆえBRZのロードクリアランス(最低地上高)は130mmと決して高くない。そのため轍の深いところではフロアを擦りやすく、路面のうねりのあるところやバンプの大きなところでも同様にノーズやフロアを打ちやすい。

 しかし、BRZに標準で装着されているフロアパネルはアンダーガード的な役割も果たしていて、そうした場面でもクルマにダメージ与えることなく、またフロアパネル自体も傷つかずにガード機能をしっかりと果たしていることがわかる。新井選手によれば、数日の走行テストにおいてもそういったトラブルは一切起こっておらず、耐久性や信頼性の面でも安心して雪道を攻めることができているという。

 こうした雪道を含めた悪路でのさまざまな課題を知り尽くしているスバルだからこそ、FRスポーツとしても雪道走破性がしっかりと確保できていて、またそれを自信を持って試乗に供することができる。そんなスバルの姿勢は素晴らしいものだ。

 FRスポーツを所有しているならば、やはりクルマをパワースライドさせドリフト走行を楽しむことは至上の楽しみであり喜びでもある。一般道においてはそうしたことが一切行えず、サーキットやジムカーナ場などでドライバーはそれを楽しむしかないが、乾燥舗装路はタイヤや車体へのダメージが大きく、車体への入力も大きいのであまり日常的に楽しむことができない。

 しかし、雪道であればタイヤの偏摩耗も心配なく、また車体への入力も小さいのでダメージも少ない。群サイのようなクローズドコースが開放されれば非常に大きな賑わいを見せると期待される。群サイは、冬季は降雪により圧雪路となることが多く、そうした雪道の走行を楽しむモータースポーツファンで賑わうが、もっと全国的にこうした場所があると、BRZのようなFRスポーツでドリフトを楽しむことがより身近で可能になると言えるだろう。

 群サイほどの長いコース(郡サイは最長で1周約6kmのコース設定をすることができる)でなくても200m四方程度の広場に積雪があれば、パイロンを置くなどしてジムカーナ的にパワースライドを楽しみながらスライドコントロールを学ぶことができる。冬の楽しみとしてウィンタースポーツがあるが、付随した広場でスノードライビングを楽しめる施設が、全国に冬の間だけでも展開できれば楽しみも増すだろう。そんなことを感じさせるBRZの雪上試乗会であった。

 雪道のドライビングスキルを高めることは一般道の走行においても大いに役立ち、また雪道の走行特性(たとえばブレーキングで突っ込みすぎるとアンダーステアを誘発し反対車線に飛び出してしまいやすくなったり、パワーをかけ過ぎれば駆動力を失ってスピンしてしまったりする)というようなことも、安全な速度域で学べるということが有益なのである。ぜひこうした雪道でのドライビングを楽しむ機会をメーカーには作ってもらいたい。また、ユーザーは機会があればぜひ試してもらいたいと思う。ただし、一般道や人が出入りするような場所で、こうした走行を行うのは厳禁であるということは肝に銘じておいてもらいたい。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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