この記事をまとめると
■筆者がアメリカで乗ったキャデラックXT6にはステッカーが貼ってあった
■アメ車には製造した工場を示すステッカーが貼られることがある
■その他、各部に“MADE IN USA”と書かれていることも
ステッカーによりどの工場で製造されたかがわかる
筆者がGM(ゼネラルモーターズ)のクルマに試乗する時に必ず確認するのが、写真のステッカー。写真はキャデラックXT6のもの。運転席のドア内側に貼られているのだが、どこの工場製か、その工場が存在する州の形と工場名、そして何か一言が付け加えられている。ちなみにXT6はテネシー州のスプリングヒル工場製ということがわかる(各生産工場で独自デザインのステッカーを持っている)。試乗の機会以外にも、アメリカのオートショーへ出かけた時には、展示車両の撮影の合間にこのステッカーを探すのを楽しみにしている。
このようなステッカーは、いまは日本国内から撤退しているフォードでも、アメリカ国内ではピックアップトラックのフロントウインドウに貼ってあったりしたのを見かけた。いまはステランティスグループとなったクライスラー系ブランドでも過去には、この類のステッカーがあったのだが、最近試乗したジープ・グランドチェロキーでは確認することができなかった。しかし、そのクルマの“身元”を表す“コーションプレート”には“MADE IN USA”と書かれており、ガラスにも一部を除き(一部中国ブランド)、“MADE IN USA”と書かれているのを見て、アメリカ車、いやアメリカ大好きの筆者の心が癒された。XT6のガラスには、MADE IN USAなどといった刻印はないので、製造者のアメリカ製へのプライドというものを強く感じた。
かつて、2代目フォード・マスタング コブラを借りて試乗したことを思い出した。エンジンルームを撮影しようとボンネットを開けると、あるステッカーが目に入ってきた。エンジンの組み込みと思われるが、担当したスタッフの直筆サイン(Bobなど)がしてあって感動したことを思い出した。アメリカの自動車工場の生産ラインのワーカーは親子代々引き継ぐことも珍しくなく、生産ラインを流れているクルマのなかで自分の息子が発注した車両を発見し、そのクルマへ父親であるワーカーがメッセージを書き入れる(日本では考えられない)といったこともあるようだ。まだまだ、“職人魂”が強く残っているものと感じている。
日本では街なかで見かけることはそう多くなく、往時の勢いを失ってしまったともいわれるアメリカ車だが、その製造に携わるアメリカのワーカーのプライドの高さは往時のままといったイメージが伝わってくる。それが良いことなのか、悪いことなのかは別として、このワーカーのプライドのようなものも、いまのアメリカ車を試乗しても「これがアメリカ車だよね」と感じさせる“ブレないキャラクター”を堅持しているのかなあと感じた。