オペル・スピードスターは後にロータス・ヨーロッパSになった
当時もいまも、ロータスの本拠地でもあるイギリスでは、オペルと基本的に同じ車種をヴォクソールとして販売している。スピードスターもこの流儀に沿い、VX220という車名で販売された。
ただし、スピードスター/VX220は、厳密に言えばエリーゼそのままではない。当時のエリーゼのエンジンは、MGFなどに積まれていたローバーの1.8リッターだったのに対し、GMの2.2リッターと2リッターターボを搭載していた。
パワートレインが大きくなったことに対処して、ホイールベースは30mm延長。ボディもエリーゼと共通なのはウインドスクリーンぐらいで、それ以外は当時のオペルらしいエッジの効いたデザインで統一されていた。屋根がソフトトップから脱着式ハードトップになったことも違いだった。
コクピットも、タイトであることはエリーゼそのままであったが、インパネやドアトリム、ステアリングはオリジナルの造形となっていて、ライトスイッチもオペル流になっていた。
スピードスター/VX220の生産は2005年で終わるが、興味深いのは、ロータスが2年後、同じホイールベースのプラットフォームにオペルの2リッターターボを搭載したクーペを、ヨーロッパSとして送り出したこと。
ヨーロッパといえば少し前にコラムでも取りあげた、漫画「サーキットの狼」の主役として活躍したライトウェイトスポーツカーを思い出す人が多いはず。僕もそのひとりだったので、エリーゼよりひとクラス上のスポーツカーというヨーロッパSの位置付けはピンとこなかったのだが、いま思えばスピードスター/VX220のために開発した資産を有効活用するという意味もあったのだろう。