この記事をまとめると
■セリカでもカムリでもない「セリカ カムリ」というセダンを振り返る
■絶妙なサイズを担う1台として設定されていた
■2年しか製造されなかったが、当時は重要なモデルだった
マイナーすぎるモデルだが重要な役割を果たしたセダンだった
1980年1月に登場した4ドアセダン車の「セリカ カムリ」は、スペシャリティクーペとして人気を博したセリカと、現在も続く4ドアセダンモデルのカムリの両方の名前を冠したモデルとなっている。
そのため、歴代セリカでも歴代カムリでもないモデルという扱いとなっており、現行型カムリが登場したときのプレスリリースにも、1982年に登場した「カムリ」を初代モデルと記載されていた
そんななんとも言えないポジションとなってしまったセリカ カムリとはどんなクルマだったのか、今一度振り返ってみたい。
このセリカ カムリ、端的に言ってしまえばセリカの4ドアセダン版というキャラクターで、1977年に登場していたカリーナセダンの実質的な兄弟車。車両型式もA40系と2代目セリカや2代目カリーナセダンと共通となっていた。
そのため、現在までFFレイアウトを貫き通している「カムリ」とは異なるFRレイアウトを採用しており、カムリの歴史とはやや外れた場所に位置しているモデルということになる。
ではなぜこのモデルが誕生したのかというと、当時セリカを販売していたカローラ店のラインアップを拡充するというのが狙いだったのだ。当時のカローラ店のラインアップではもっとも大きな4ドアセダンがカローラとなっており、もう少し大きなセダンが欲しいというユーザーを逃さないための苦肉の策というワケだ。
実際のところ、セリカ カムリ登場のわずか2年後にはFFレイアウトの初代カムリが登場しており、当時すでにFFカムリの開発も進んでいたことを考えると、FFカムリが登場するまでの穴埋めとして急造したモデルという言い方もできそうだ。
それを裏付ける事実として、1982年3月に初代FFカムリが登場するとセリカ カムリはすっぱりと姿を消しており、兄弟車であったカリーナセダンは1981年9月にひと足先に3代目へとフルモデルチェンジを果たしているのである。
ちなみにこのセリカ カムリ、1980年8月からは同年春に新設された販売チャネルのトヨタビスタ店でも販売されており、82年3月にカムリの兄弟車であるビスタが登場するまでの間、ビスタ店のラインアップを守っていた。
このようにセリカ カムリはワンポイントリリーフ的な立ち回りをしており、販売期間こそ短くマイナーな存在であるものの、ラインアップの穴を埋める重要な存在でもあったのである。