この記事をまとめると
■「ピュアスポーツ」と呼ばれるクルマがある
■ルーツは1920~30年代のイギリス車
■ピュアスポーツカーの条件について解説する
ルーツは1920~30年代のイギリス車
「ピュアスポーツ」と呼ばれるクルマの条件は何なのか。
ピュアスポーツカーのルーツは1920~30年代のイギリス車といわれている。この頃のスポーツカーは,乗用車のパワートレインを流用し、それを2シーターのショートホイールベースにし、オーバーハングを切り詰め、屋根も取っ払って軽量化し、運動能力を高めたクルマになっていた。
簡単にいえば、快適性や居住性を犠牲にしてでも、運動性能を特化させたクルマ。それがピュアスポーツカーということになる。
車種的にいえば、スーパー7やロータスエラン、ロータスエリーゼなどがその代表。国産車でいえば、マツダのロードスターはピュアスポーツカーとして認められている。これらのクルマに共通していることこそが、ピュアスポーツカーの条件になってくる。
第一に軽量であること。理想はずばり1t以下。1200kgクラスだとピュアスポーツとしてはけっこう厳しい。1500kgを越えたらハイパフォーマンスカーではあっても、スポーツカーとは言い難くなってくる!?
次に重量物が車体中央に集まっていること。ミッドシップ(MR)かフロントミッドシップのFRで、2シーターが有利。
そして重心が低いこと。ワイドトレッドにすれば、相対的に重心は低くなる。逆にスペース効率のいい、ギアボックスとエンジンが二階建てになっているようなFF用のパワートレーンは重心位置が高くなるので×。FFエンジン流用のミッドシップもこの点ではマイナス。
もちろん前後の重量バランスも重要。50:50が基準だが、同じ50:50でも、ボディの先端・後端が重たいと、Z軸まわりの慣性モーメントが大きくなって、運動性能、操縦性をスポイルするので末端は軽く、オーバーハングは短くしたい。
あとは駆動伝達効率の高さ。クルマは加速すると慣性の働きでリヤが沈む。タイヤのグリップ力はF=μmgなので、タイヤにかかる荷重の大きさに比例する。つまり駆動伝達効率が高いのはリヤ駆動車ということ。トラクション性能だけでいえば4WDが一番だが、4WDにするとそれだけで100kgぐらい車重が増すのでピュアスポーツカーの精神に反してしまう……。