日本メーカーを脅かす可能性も十分にある! 驚くほどの躍進を遂げた「ヒョンデ」の世界での立ち位置 (2/2ページ)

グローバルでの「ヒョンデ」の評判は?

 それにしても、ヒョンデとはどんな会社なのか。

 ヒョンデモーターグループは、自動車メーカーとしてヒョンデとキアのふたつを有している。部品メーカーではヒョンデMOBISなど、多くの部品をグループ内で研究開発し製造している。そのほか、鉄鋼や金融など、自動車及び産業全般にわたり合計54もの企業の集合体である。従業員はグローバルで12万人以上で、製造拠点は韓国以外に7カ国に構えており、販売拠点は200カ国以上で6200カ所を数える。

 年間の製造台数で見ると、トヨタグループ、フォルクスワーゲングループ、ルノー日産三菱アライアンス、GMグループに次ぐ世界第5位となる巨大なグローバル企業だといえる。そのため、ヒョンデは韓国では一流大学を卒業したエリートが就職する超難関である。

 筆者は1980年代からこれまで、ヒョンデの成長を世界各地で実際に見てきた。

 そのなかで、ヒョンデにとって大きな飛躍のきっかけとなったのは、やはり北米市場だと思う。正直なところ、1990年代頃前のヒョンデやキアは、走行性能で日系メーカーに明らかに劣っていた。だが、2000年代以降の巻き返しは強く、グローバルから優秀な人材を積極的に採用するなどして、内外装デザイン、パワートレイン、車体、走りのチューニングなど、総括的にレベルアップしていき、日本車やアメ車の牙城を崩すことに成功した。

 また、新興国での事業展開も積極的に行い、とくにマルチスズキが圧倒的シェアを持つインド市場では、現地生産をキッカケにヒョンデのブランド価値を一気に上げて販売台数を伸ばしていったことが記憶に新しい。ヒョンデ関係者は「我々は必要十分な市場調査を行った段階で、いち早く決断する」という実効性の高さを強調した。

 果たして、日本市場の再上陸という決断が、これからどのような成果を生むのか。今後の動向を注視していきたい。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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