この記事をまとめると
■クルマに使われる高級素材のひとつがレザー
■本革とバックスキンやスエードと呼ばれるものがある
■人工スエードの代表格、アルカンターラについて詳しく解説する
東レが開発し、登場時はエクーヌという名前だった
高級車やスーパーカーなどで内装に使われる高級素材のひとつがレザーだ。いわゆる本革で、天然ならではの感触と風合い、見た目もしっとりとした感じなのが大きな魅力となっている。そして革にはもうひとつあって、バックスキンやスエードと呼ばれるものがある。その名の通り、革の裏を使っていて、ざらついた感じと、握ったり触ったりした時の吸い付くような感じは独特だ。
ただし、革には欠点があって表革の場合は、表面は塗装して作られているのでハゲや割れ。バックスキンでは、毛羽立ちやすい以外にも、汚れやすく、落としにくいというのがある。ザラザラしているので当然だが、洗うわけにもいかず、専用の消しゴムを使って落とすぐらいしかない。
こういった欠点は本物ゆえのことだが、スエードについては人工スエードというのがあって、自動車にはこちらのほうがよく使われている。その代表格がアルカンターラで、日本車でもアルファードにアルカンターラバージョンという特別仕様車があったほど。
もともとは日本の東レが開発したもので、エクーヌという名前で登場したのが1972年のこと。東レの岡本三宜博士が1970年に開発した超極細繊維生産技術を製品化したものだ。アルカンターラは東レとイタリアのEni社の合弁会社、アルカンターラ社が作っているものを指す。現在はイタリア製をアルカンターラ、日本製をウルトラスエードと分けている。
両者に技術的な違いはあまりないようだが、アルカンターラは自動車用として誕生してランチアなどに採用され、その後発展してきただけに、高級車に適したものとなっている。そのメリットはまず耐久性や耐光性が高いということ。また汚れにくく、汚れが付いても落としやすく、水洗いも可能だ。また天然のスエードで問題だった毛羽立ちや引っかきキズが付きやすいところなどもかなり解消されている。
さらに見た目は天然のスエードは目が荒いのに対して、アルカンターラはキメが細かくてサラリとした感触が特徴で、こういった部分が高級車を中心に支持され続けている理由だ。
欠点もあって、価格が高いということ。一般的には天然モノが高くて、人工モノは安いというのが通例だが、アルカンターラは価格が高い。一概には言えないが、布シートに使われるファブリックのだいたい2倍ぐらいだ。このため高級車などの高価格車に使われているということはある。ただ、独特の風合いは価格に見合ったものではあると言える。