この記事をまとめると
■懐かしの車名が今になって復活する理由に切り込む
■名前は同じでも、当時のクルマとスペックなどはかけ離れているケースも多い
■車名が復活する理由のひとつに「商標権」の問題があった
車名復活は「使える名前が存在しない」という苦肉の策だった
トヨタスープラ、ダイハツタフト、ダイハツロッキーなどは、いずれも一度廃止された車名が、後になって復活したパターンだ。この内、スープラは、車両のコンセプトが似ているために車名も復活させた。初代スープラは、後輪駆動の上級スポーツカーとして、日本では1986年に発売されている(北米では1978年に登場したセリカXXからスープラを名乗った)。この後、スープラは2002年に終了したが、2019年に現行型が復活した。
BMWとの提携に基づき、エンジンやプラットフォームなどの基本部分は、BMW・Z4と共通だ。その影響で、方向指示機を作動させるレバーは左側に装着されるが(開発者によるとコスト低減のために右側に変更しなかった)、後輪駆動の高性能なスポーツカーという性格は共通している。
ダイハツタフトの初代モデルは、1974年に後輪駆動ベースのパートタイム4WDを備える悪路向けSUVとして登場した。ランドクルーザー40系(1960〜1984年に販売)をコンパクトにしたようなSUVで、1980年以降はトヨタにもブリザードの車名でOEM供給された。
初代タフトは1984年に終了したが、2020年に軽自動車として復活している。タフトを名乗るだけあってSUVに含められるが、前輪駆動をベースにした背の高いボディを備えるから、車両の性格はムーヴの発展型という印象だ。
初代タフトは1984年に終了してラガーに発展した。その一方、1990年に全長を3705mmに抑えたコンパクトSUVとして登場したのが、最初のロッキーだ。後輪駆動をベースにした悪路向けのSUVだが、センターデフ式フルタイム4WDも用意して、舗装路でも4WDの安定性を発揮できた。初代ロッキーは1997年に終了して、2019年に今日の2代目ロッキーが前輪駆動ベースで復活している。
タフト、ロッキーともにカテゴリーはSUVだが、初代は後輪駆動ベースの4WDを搭載する悪路向けで、復活した現行型は前輪駆動のシティ派SUVだ。同じSUVでも、異なる点がある。
またスバルジャスティは、初代は1984年に発売されたスバル製のコンパクトカーだったが、2代目の現行型はダイハツトールのOEM車だ。新旧ともにコンパクトカーだが、現行ジャスティは背が高くスライドドアも装着する。初代ジャスティとは性格が大きく異なる。製造メーカーも違う。
このように廃止された車名がコンセプトの違うクルマとして復活する理由は、使用できる車名が限られるからだ。今ではクルマの名前として使えそうな名称は、大半が商標登録されている。仮に新しい車名を思いついても、調べると既に登録されていることが多い。そこで自社で商標登録している車名を使うことになり、コンセプトの違うクルマとして復活するわけだ。従ってクルマの名称に、系統だった整合性はあまり期待できない。