燃料代が驚異の高騰で輸送も旅客業界も阿鼻叫喚! 自動車にも「燃油サーチャージ」の流れ (2/2ページ)

燃料電池バスやEVバスはまだ普及には遠い

 東京都内では燃料電池バスが多く走るようになったが、その燃料となる水素は割高イメージが先行している。それでは電気で走るBEV(バッテリー電気自動車)バスを導入しようとしても、日系メーカー製ではフルフラットの路線タイプが2024年度に生産開始予定となっている。そもそも、現状国内でも販売されている中国メーカー製のBEVバスを導入するにしても、車両価格は日系メーカー製ディーゼルバス並みとややリーズナブルであるものの、台当たり数千万円かかるので、充電施設の整備などを考えても一気にBEVバスへ切りかえるのは現実的ではない。当面はディーゼルで走るバスに頼らざるを得ない。

 しかし、例えば路線バスでは、東京23区内などで200円あたりで距離に関係せずに均一に利用することができるが、すでにその運賃では路線維持するには、ここまで燃料代が高騰するとそれは難しい状況にきているように見える。そこで燃油サーチャージ導入というものがいま浮上しているのである。

 タクシーの燃料となるLPガスは、そのおもな輸入先はアメリカとなり、2019年統計で全体の7割強となっており、本来はロシアのウクライナ侵攻の影響はほとんどないのだが、世界的なエネルギー価格の上昇につられ、石油情報センターの統計ではロシアの軍事侵攻発生前でも、全国価格が1リットルあたり116.4円となっており、2019年同月比で約133%となっており、軍事侵攻前でも燃料費負担が重くのしかかっている。先日タクシー事業者へのLPガス価格高騰への負担軽減として令和3年度の予備費から約9億円を新たに確保するとの報道があった。9億円を全国のタクシー台数個々に支援のためにまわすとわずかになるが、それでも政府が現状で行える精いっぱいの支援とされている。

 サーチャージ導入を否定し、路線バスの減便やタクシーの稼働台数減を招き、利便性を下げるか、サーチャージを導入していまの利便性を維持するか、利用者がその選択を迫られる時がくるのが目前に迫っているのかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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