新車時よりスゴイ「911」に再生して送り出す! いま世界のポルシェファンが熱視線を送る「シンガー」って何? (2/2ページ)

「シンガー」初の量産モデルは75台限定で約2億円

 そして2003年には自身がカリフォルニアで乗るためにナロー911をカスタムビルド。現在のSVDらしさが早くもにじみ出たマシンはブラウン・ボンバー(茶色い爆撃機)と呼ばれ、各方面から大注目を浴びることに(現在このマシンはLAのピーターセン自動車博物館に所蔵されています)。この際、数多くの人から「譲ってほしい」と乞われたことで、シンガー設立の決意を固めることになったのでした。

 その後2009年、ついにSVDがローンチされると、モナコ・コミッションやらル・マン・コミッションといった車名で素晴らしいリイマジンド(再解釈)911をリリースしていったのはご承知の通り。当時はオーダーから納車までは8カ月から12カ月ほどかかり、30人程度のスタッフで年間30台から60台程度のキャパシティでしたが、現在はやや増加している模様。

 ただし、SVD初のプロダクションモデル(量産車)となる「DLS(Dynamics Lightweight Study)」はどうやら英国で大半の製造が行われるようです(量産といっても75台限定で、しかも発売と同時に完売)。

 このDLSもまたすさまじいモデルで、まず乾燥重量990kgというグループ5の935に追いつきそうな車重(970kg~)を実現! 搭載エンジンはウィリアムズがチューンした4リッターフラットシックスで、500馬力以上を発揮するとされ、これまた935(1976モデル)の600馬力に肉迫! 当然、お値段も相応でおよそ2億円! ただし、レアではありますがシンガーのなんちゃらコミッションが中古市場に出てくるとたいてい100万ドル(約1億3500万円)くらいしているので、見方によってはお買い得かもしれません。

 SVDではレストモッドの費用をつまびらかにしていませんが、ひと声2000万円くらいからスタートし、天井は「DLS」並みにキリがないってところでしょうか。

 この「DLS」のほかにも、シンガーはついにターボのスタディモデルを発表。450馬力を発揮する3.8リッターツインターボが搭載され、全輪駆動の可能性も示唆されるなど、これまたSVDらしい仕上がりになりそうです。

 お披露目(的な受注イベント)は6月のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードなので、手に入れたい方はお見逃しなく!


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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