アニメやドラマ、CMなど映像による影響は絶大だった
続いては、漫画やアニメがきっかけでクルマオタクだけでなく、子どもから大人までその名を広めたのが、しげの秀一さんが1995年より週刊ヤングマガジンに連載していた『頭文字D』の主人公、藤原拓海の愛車であるAE86こと、トヨタ・スプリンタートレノ。
白いボディに黒のライン、シンプルな「藤原豆腐店」の文字が入っているのが特徴でした。テレビアニメもスタートすると、すでに1987年に生産終了していたAE86の中古車市場は爆上がり。欲しくてもタマがない状態になったほどでした。2000年以降にドリフトブームがやってくると、そのままAE86人気に追い風となり、さらにS13シルビアなども中古車市場で価格が高騰。今では、きれいな姿で残っている個体はとても貴重となってしまったのでした。
漫画やアニメだけでなく、ドラマの中で登場して大バズりしたクルマもたくさんあります。そうしたクルマの中で、もはや伝説となっているのが、2000年に放送されたTBS系ドラマ『ビューティフルライフ』。この中で、常盤貴子さん演じる町田杏子が愛車としていたのが、真っ赤なオペル・ヴィータというコンパクトカーでした。
日本ではどちらかというとマイナーなブランドで、VWゴルフなどに比べると販売台数も少なかったのですが、このドラマを見た女性が「このクルマなに?」「可愛い、欲しい」となり、中古車市場から赤いボディカラーのヴィータだけが消えたというエピソードが今でも語り継がれています。それだけ、常盤さんが運転する姿が素敵だったということですね。
同じように韓国では、当時大人気だった女優さんがプライベートで日産キューブに乗っていることを明かしたため、一気にキューブが大バズりし、ライバルメーカーから似たようなコンパクトカーまで登場したという出来事もありました。
さて、クルマを知るきっかけとして、「CMでいいなと思ったから」という人も多いと思いますが、確かにものすごいインパクトのCMはたくさんありました。中でもやはり伝説となっているのが、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で日本でも大人気となったマイケル・J・フォックスを起用した、1989年登場の2代目ホンダ・インテグラ。
甘いマスクで登場したマイケルが、インテグラに楽しそうに乗り、ラストにひと言「カッコインテグラ!」と叫ぶという、単純明快ながらずっと耳に残るCMでした。この2代目インテグラといえば、上皇陛下が長年愛車として大切に乗られていることでも有名ですね。
そしてもう1台、伝説となっているCMが、1988年のニッサン・セフィーロ。キャッチコピーは「くうねるあそぶ」だったのですが、それよりも走行中のセフィーロの窓がおもむろに開き、井上陽水さんが出てきてひと言「皆さんお元気ですか? 失礼しまーす」と言って終わるという、なんとも脱力系のCMでした。
昔のCMはCGなどを使ってない分、こうした「ひと言のインパクト」が大きかったような気もしますね。
ということで、ひょんなきっかけで大バズりしたクルマたちをご紹介しました。皆さんの中で強く印象に残るクルマは、何がきっかけだったでしょうか。これから大バズりするのはどんなクルマなのか、楽しみにしていたいと思います。