クラウンが白いクルマに高級感を持ち込んだ
白の車体色について、国内では1967年(昭和42年)に発売されたトヨタ・クラウンが、「白いクラウン」の宣伝文句を使い、それまでの高級車は黒という固定概念を崩し、洗練された姿を訴求した。同時にまた、上級車種でありながら2ドアハードトップを車種に加え、個人所有としての高級車への憧れを訴えかけた。
そして1980年代の「いつかはクラウン」につながっていく。その80年代は、マークIIや新登場のソアラを含め、ハイソカー(ハイソサエティ=上流階級なクルマ)が流行し、それらの人気も白いクルマに集中した。
そうした憧れとは別に、日本人のなかには、白い車体は劣化しにくく、ほかの車体色と違って中古車市場でも誰もが無難な色として拒否反応を示しにくいため、値崩れしにくく下取り価格が高めとなって損をしにくいとの意識がずっと続いてきた。無難で損をしにくいことへの関心度の高さは、いまなお日本人の根底に根強くあるのではないか。
したがって、モデル3の白は、価格的にもっとも買い求めやすいという実利に加え、白いクルマに対する日本人の安心感という心理も働いているのではないか。損得を抜きに、好きな赤や黄色といった色を高額商品のクルマで選択する例はまだ限られる。
なおかつ、標準車種となるモデル3の後輪駆動(RWD)は、装備の面でも十分な内容であることに納得させられる。単なる廉価車種の位置づけではない。494万円の白のモデル3で、テスラの魅力を存分に味わえるのだ。一充電走行距離は565km、最高速度は時速225kmに達する。
それであるなら、補助金を活用できるいま、最新のEVといえるモデル3を体験してみようと考える人が増えるのは当たり前で、結果的に白のモデル3をよく見かけるのだと思う。