この記事をまとめると
■「はめ殺し」という言葉が使われることがある
■これは「開かない窓」を指す
■採用される理由について解説する
「はめ殺し」は「開かない窓」を指す
クルマの用語として使われるのが「はめ殺し」という言葉。正式な名称ではないが、現場レベルではよく使われる。窓ガラスに使われることが多く、意味はそのままで「開かない窓」だ。自動車の窓は家庭のようにスライドしないようにしてただ開かないというのではなく、ゴムの枠などを使ってガッチリと固定することから、このような少々物騒な言い方となっているのだろう。
はめ殺しは開く場合と開かない場合がある部位の窓に使われるもので、前後のウインドウは例外はあるにしても、開かないのが普通なので「フロントガラスがはめ殺し」とは使わない。言わなくてもはめ殺しだからだ。
その考え方でいくと、よく使われるのはサイドの窓だ。イメージ的には前後ドアのウインドウしかないように思えるが、実際には小さな三角窓が付いていることもあるし、ミニバンでは斜め前の視界を確保いるためにAピラーに小さな窓が付けてある。つまり数としてはけっこうあって、そのなかでこれは開かないというのを示すときに「フロントドアの三角窓がはめ殺し」のように使われる。
そもそもなぜはめ殺しのウインドウがあるかというと、開ける必要がなかったり、開閉機構を組み込むのが構造的や重量的なハンデがあるからなどが理由となる。ただ明かりが入ってくればそれでよしというのもある。その昔の手でひっくり返すように開ける三角窓は今考えると秀逸だったが、現代のクルマに雰囲気的に合わないだろう。
さらにその昔よく見かけた、似たようなウインドウの形式を紹介しておこう。一見するとはめ殺しに見えて、後ろ側にロックする部分が付いていて、そこを引っ張りつつ外側に押すようにすると少しだけ浮き上がるタイプがあった。クーペや1ボックス、ミニバンの初期などでよく見かけたが、前側は開かないでただのヒンジになっているので、ほんの少し開くだけだった。そこまでして開けた理由は単純に換気のため。エアコンがなくても、外気導入にしておけば風が通り抜けて涼しかったものだ。後席までエアコンが付いているような現在では、そこまでして開ける必要はないということだろう。
ミニバンの3列目横のウインドウははめ殺しで浮き上がることもしないが、気になるのはスライドドアのウインドウは途中までしか下りず、かなり中途半端だということ。ガラスを収納するドア内部に全部を収納するスペースがないことに加えて、子供の脱落防止という目的もあって全開にならないようにしている。