この記事をまとめると
■映画「ドライブ・マイ・カー」が話題となっている
■劇中で赤いサーブ900が登場
■どのようなクルマなのか解説する
ボンネットはフロントウインドウ側から開く逆アリゲーター式
本校執筆時点では、第79回ゴールデングローブ賞を受賞し、2022年3月28日に授賞式が行われる、第94回アカデミー賞において、4部門でノミネートされている日本映画「ドライブ・マイ・カー」が話題となっている。この映画の劇中で登場するのが、赤いサーブ900。もともと、スウェーデンの航空・軍需メーカーであるサーブの自動車部部門として“サーブ・オートモービル”が設立された。その後1990年に当時“サーブ・スカニア社”だった自動車部門がGM(ゼネラルモーターズ)傘下となった。2009年には、中国の北京汽車がサーブ・オートモービルから、ラインアップ車種の“9-3”や“9-5”といった3車種のプラットフォームなど一部を買収。その後北京汽車はこのプラットフォームをベースにオリジナルモデルを開発している。
劇中に登場してくる900は、GM傘下前の、いってみれば“オリジナル900”といっていいモデルで、1978年から1993年の間生産された。日本の“5ナンバーサイズ”に収まるそのエクステリアは見た目もユニークであるが、それだけではない。ボンネットはフロントウインドウ側から開く“逆アリゲーター”式などとも呼ばれ、いまではそれだけでも珍しいのだが、ただ“逆に開く”だけではなく、開く前に前方へずらす必要があった。しかもフロントサイドフェンダーの上3分の1ぐらいまでから、“ガバッと”一緒に開いてしまうものとなっていた。左右にかなりラウンドしたフロントウインドウも特徴的であった。
インテリアではイグニッションキーの鍵穴がセンターコンソールのパーキングブレーキをおろしたあたりの位置にあるのも、900の個性的な部分として当時よく紹介されていた。
今回は映画のベースとなった原作どおりサーブ900(ボディカラーなど細かいところは異なる)を使用しており、主人公がこだわりで所有を続けてきたという設定となっている。時にストーリー上必要だとか、クルマをメインに扱うものであったりして、さらに映画の演出上(あるいは原作)のこだわりなどで厳格なクルマ選びが行われることがある。